いけっち店長江戸日記
2006



12月19日 伝説の徳島店

  久しぶりに徳島店に帰った。半年ぶりだ。
  半年前に来た時は、本当にひどいありさまだった。
 
  俺が東京に行ってからの徳島店ときたら、ろくに掃除はしない、看板は傷んだまま、ポスターは昔のものが貼られたまんまという、はじめて見たら「・・・・廃墟?」と思うのが普通の人・・・という情けない体たらくの店になっていた。
 
「カードキングダムグループに加盟したいんですが、とりあえず元祖の徳島店を見に行きたいんですが・・・」
という問い合わせに対し、 
「ノンノン。あれはカードキングダムではありません。あそこからスタートしたのは確かですが、あそこはカードキングダムとしての店作りをしていない、“フューチャービー徳島”という別のお店です」 
と答えていたぐらいだ。
(“カードキングダム”のノウハウで作られた独立店舗を見るならば、うちの直営店なら今のところ蒲田店が一番間違いない)

  さすがに俺も問題視して、店をリフレッシュする指示を幾つか指導しておき、 
「今度来た時に改善されていなかったら、例え売り上げがあろうと潰す!! 恥ずいから!
とまで言い放っていた。
 
  約8年間の歴史を持つカードショップ、フューチャービー徳島店、閉店の危機! 原因は、片付けないから!!
 
  まるで、

「もう、カードは片付けなさいっていつもママ言ってるでしょ?! 全部捨てちゃいますからね!!」
 
「ごめんよママン!!」
 
 って感じだ。こんなんで潰れるカードショップって、どうよ。
 
 ・・・それが、半年前。そして今、ジャッジメントタイム! ゴゴゴゴゴゴ!
 
 
 
 
  ・・・・むぅ。
  改善はされている。
  店の中も、前よりは小奇麗にまとまっている。と、言うか、明らかに片付いている。「社長が来るぞ! 真面目なフリをしろ!!」といった感じではない。一朝一夕ではなかろう。
 
「・・・・まあまあか。よし、オザわ!」
 
「はいはーい」
 
 

 
 
「思ったより片付いておる」
 
「ウホッ」
 
「しかし、やれば出来る事がわかったからにはネクストステージが待っている! さらに店のクオリティを上げるべく指示するぞ!」
 
「あひぃ!?」
 
「ここがいかん!!」
 
「あひゃ!?」
 
「アレはこうすべきだ!!」
 
「うひぃ!?」
 
(会話になっていないように見えますが、高速言語の一種です)
 
 一通り指示したあと、昨今のお客様の流れや、各カードゲームの反響について報告を聞く。

「で、どうだ。子供のお客はやはり減っているのか」
 
「如何ともしがたく」
 
「しかしむしろ売り上げが伸びているというのは、やはり大人常連か」
 
「リセもディメンションゼロもガンダムウォーも元気ですから」
 
  徳島店はデュエルマスターズ・遊戯王の子供たちもたくさんいたが、なんと言っても昔から、夜の8時以降にわらわらと寄って来る大人常連さんたちの憩い場としての側面が大きい。
(裏日記で言えば“触手授業”“エイリアン鬼ごっこ”をする人たち)
 
 この、いろんなカードゲームに手を出して楽しんでくれる大人常連の皆さんと、デュエルマスターズや遊戯王の子供たち(裏日記で言えば“風船君”や“アケノ”)が、なぜか楽しく交流することで、この店ならではの謎の活気が形成されている。
 
 子供のプレイヤーが減っているのは、もはや全国的な風潮で、これは仕方ない。(また春に盛り上げていきたいものだ)
 が、それすらもカバーするほどに大人用カードゲームの売り上げが大きくなり、なにはともあれ活気があるのは素晴らしい事だ。
 
 徳島店は、大人の(50代の方まで)常連さんがあいも変わらずいてくれるので、常に賑やかな店になっている、という事らしい。
 
 しかし東京に出て2年。さすがにデュエルスペースには、見知らぬ顔ばかりだろう・・・と思ってデュエルスペースに入ってみた。
 
「あ、店長。ちーす」
 
「おや店長。久しぶりですね」
 
「なんだなんだ、知った顔ばっかりやんけ!」
 
「当たり前でしょう。徳島店なんだから」
 
「しかし、いくらなんでも8年前の開店時からの常連がこれだけ生き残ってる店っておかしかねぇか?!」
 
「まあ、みんなこの店に“住んで”ますから」
 
 “住んでいる”
 そう。時々言われる事だが、この店にはなんつーか、陽気な妖気のようなものが立ち込めている。
 
 1日目、最初はこの店の雰囲気に驚き、すぐ慣れて楽しめるようになる。
 
 2日目、果てしなく落ち着く。
 
 3日目、自分がこの店の一部になった感覚に囚われる。
 
 4日目、昔からこの店にいたような気になって、“住んでいる”気になる。
 
 実のところ“徳島店”の作り方は、カードキングダムのノウハウとはちょっと違う。
 この店は、カードショップのノウハウを作ろうとして俺が七転八倒し、むちゃくちゃな数の失敗を積み重ねまくりながら作った店だ。
 また、しょっちゅうひっくり返ってるのにそれでも懲りずに来店し続けてくれたお客さん(時には俺と喧嘩までしながら)との、混沌と歴史の果てに作られた、奇跡の店なのだ。
 
 よく言う。もう一度徳島店を作れと言われても無理だ、と。
 
 「アレは、あの時代にあの常連さん達がいたからこそできた、奇跡のような店なんです。・・・まぁ、一種の妖怪ですな。店も、そこのお客さんも(笑)」
 
 ただ、そのDNAを受け継いだカードキングダムは、その場所その場所で最高の店になれる可能性はある。
 別に徳島が最高なわけじゃない。これからもどんどん、「最高に楽しめる店」は作っていけるだろう。

 しかし、それでもやっぱり、徳島の雰囲気は特別製だ。
 駄菓子屋? 児童館? めっちゃ広い友達の家? いや、「秘密基地」と言った方が良いだろうか。




 おつかいに行っていたハリーが帰ってきた。
 
ハリー「おや店長さん、帰ってましたか」
 
俺  「おおハリー。いやぁ驚きだよ。客の顔ぶれが変わってねぇでやんの!」
 
ハリー「すいませんねぇ。変わり映えが無くて」
 
俺  「いやぁ、何かタイムスリップした気分だよ。2年経っても変わらぬ雰囲気、安心するねぇ!」
 
ハリー「は? 何言ってるんです店長さん? 店長が東京に行ってから、まだ1ヶ月しか経ってませんよ?」
 
俺  「はっ?! 何だって! じゃあ今までのは全部夢・・・?! まさかディメンション・ゼロも? 僕、中村さん木谷会長と作ったんだよ。そーゆーカードゲーム!」
 
ハリー「はっはっは。そんな雲の上の人達とカードゲームを作るなんて、夢に決まってるじゃないですか」
 
俺  「そうか・・・夢だったのか(がっくり)・・・じゃあ、この机の上にあるセカンドセンチュリーの【バタフライマスター】も夢なんだね?」
 
ハリー「それは人気急上昇中のシルバーレアで、大切な売り物なので返してください」
 
俺  「嘘じゃねぇか!!」
 
ハリー当たり前ですよ! しっかりして店長!」
 
 何でいきなり嘘つくねん。この不良宇宙人めが。
 
ハリー「それはそうと、そこの後ろの人物が誰かわかりますか?」
 
 後ろを見ると、恰幅の良い(ありていに言えば少し太った)学生服が。
 横から覗いてみる。
 そ奴は微妙に顔を隠す。
 
俺  「・・・・毛沢東?
 
ハリー「いやいや」
 
俺  「・・・・おおお! 少年池田じゃねーか!!」
 
 少年池田。
 
 店長(俺)と苗字が同じであったため、
 
「この店に池田は2人もいらぬ! 名前を賭けてデュエルだ!!」
 
と因縁を吹っかけられ、世紀の「名前賭けデュエル」を繰り広げた俺のライバルの1人。
 おかげで俺が“井上”になったり、彼は“ゴンザレス”になったりする壮絶な戦いが繰り広げられた。
 2002年11月13日(水)ほこりをかけて! 池田大戦
 
 
 
 また俺が、
 
「君は将来、ハゲる」
 
と力強く宣言したため、徳島店不良常連“アケノボーイ”に「ハゲるヌケるスベる」と日々もてあそばれ、熾烈な戦い(戦ってばっか)を繰り広げる事になった経緯を持つ。
 2003年1月29日(水)ハゲ騒動
 
 
俺   「本当に少年池田か?! なにかすごい人相が変わってるぞ! なんだか『中国大陸を10年ほど旅してきました』みたいな・・・一瞬、毛沢東かと・・!」
 
ハリー 「店長。人は中国を旅しても毛沢東にはなりません」
 
俺   「今は何をやってるんだ? むぅ。リセか。つまり高校生になってエロくなって帰ってきたわけだな!」
 
少年池田「ええまあ」
 
俺   「ん? しかしマジックもやってるのか。んん?! 《輝くライオン》?! 《トゲ尾の雛》?! どんなレギュレーション?!!」
 
少年池田「プロフェシー限定ブースタードラフトですが?」
 
 何やってんねん。お前等。(プロフェシーは約6年前に発売したマジックのセット)
 
 訳わからん。さすが徳島。しかしこの程度でうろたえるようになったとは、この俺も東京に住んで鈍ったか。
 
少年池田「先日、裏日記の“ほこりをかけて!池田大戦”が隣のクラスで印刷されて回し読みされてまして。『おもしれー!』って」
 
俺   「うっ! マジか!」
 
少年池田『それオレ! 超オレ!!』って言いました
 
 自分で言うか。なんて嬉しそうな顔しやがる。天然かお前。
 
俺   「しかし、目立ったらイジメだなんだと暗い時代に、なんと大らかな・・・」
 
ハリー 「良い話でもありますが、私は問題があると思いますねぇ・・・」
 
俺   「うむ」 
 
ハリー 「裏日記を読んだ人がリアル少年池田を見て、『本人は意外と髪の毛がある』という事実を知ると、がっかりするのではないでしょうか?
 
 ひどいこと言うな、お前。
 

 
 その後も徳島店を見回るが、平和の一言だった。
 夜になって、ますます懐かしい面々がやってきた。
 
俺    「今日はなんて日だ! 懐かしい面々にこんなにも次々に会えるとは!」
 
シュガー氏(本名はサトウ)「当たり前やん!」
 
俺    「いやあ、レアな人にいっぱい会えるなぁ」
 
シュガー氏「いや、あんたがレアクリーチャーなんだって」
 
E口氏  「最近作った秋葉原店はどんな感じですか?」
 
俺    「ディメンションゼロの月間チャンピオンレースがなんと、参加者63名にもなってな。すげえ盛り上がりですよ。
 でも弱点があって、なんとトイレがない。まあ、何とかなってるけど」

 
シュガー氏「なるほど」
 
俺    「ジュースの自動販売機があるんだが、そんなに売れてない。トイレが近くなって自殺行為だからな。
 そこで考えた。
 まずお菓子を置く
→おなかが減った人がお菓子を買う
→ノドが渇く。
→ジュースを買う
→そしてトイレに行きたくなった人のために、“アテント”(老人用紙おむつ)を売る!

 
E口氏  「ひどいコンボですね」
 
俺    『アテントのおかげで、存分にチビれるわい。じょばじょば』というお漏らしデュエルスペースが完成! どうよこれ」
 
シュガー氏「誰も行かんだろそんな店」
 
俺    「もうひとつ考えがある。工事現場にあるような仮設トイレを横に置いてな」
 
E口氏  「ああ、それが良いんじゃないですか?」
 
俺    「切羽詰った人がトイレに入ろうとすると、実は100円入れないと入れないわけだよ! どうよこの搾取のシナジー!!
 
シュガー氏「鬼かあんた!」
 
E口氏  「しかし聞いた話では、新宿には有料トイレがあるらしいですね」
 
俺    「ああ、らしいな。どんなのか知らんが・・・あれかな。すごいサービスがあるのかな」
 
シュガー氏「どんな」
 
俺    「ロボットアームが孔雀の羽とかでお尻を拭いてくれて、『おふぅあおおぉっん!』とか思わず声が出ちゃうとか」
 
E口氏  「違うでしょ! ・・何でも受け付けがあって、チケットを買って入るらしいですよ」
 
シュガー氏「ほう」
 
俺    「チケット・・・遊園地みたいだな。じゃああれか、トイレに入って踏ん張ったら、突然まわりの壁がZガンダムの全周囲モニターみたいになって、グランドキャニオンの崖の上空の風景になるとか!!」
 
シュガー氏「出んわ! 引っ込むわい!」
 
俺    「効果音とかも凄くて、『ビュゴオオオオ!』って風の音が。いや実際に、ダクトから暴風が吹いても面白いな
 
シュガー氏飛び散る飛び散る
 
E口氏  「お尻拭けませんってば」
 
俺    「じゃあ、画像がアフリカのサバンナ。ライオンとかがうろついてる中で、迫力満点の脱糞行為!
 
E口氏  「脱糞行為ってあんた・・」
 
俺    「そもそも動物としてスキが出来る行為だからな。野生動物は敵に対して凄く警戒しながらするらしいぞ。歩きながらとか。どうだろう? そんな野生のDNAが蘇る有意義なトイレだと思うが・・・」
 
シュガー氏「どこが有意義やねん!」
 
俺    「宇宙空間はどうだ? ディスカバリー号から船外に出た無重力状態。そして高高度から地球にめがけての・・・
 
シュガー氏「死んでしまえ!」
 
 そのほか、「渋谷の交差点のど真ん中」などと言うヘンタイさん大喜びな企画等が出たが、実際のところどんなトイレなんだろう?
     
 
 半日いただけだが、他にもいろいろあった。ディメンションゼロも「《ペガサス・ファーム》を複数起動して挟撃する」なんて超個性的な面白コンボが使われていたし、さすが徳島。1回行っただけでこんなにネタが転がっているとは、なんて生産効率の高さだ(笑)
 
俺   「なにより、久しぶりに来たのに全然問題なく溶け込めるのがありがたいなぁ」
 
ハリー 「何言ってるんですか。当然ですよ。ここは店長が作ったんですからね」
 
俺   「うう。ありがたい事じゃ」
 
ハリー 「だからいつ戻ってきても良いんですよ(わざとらしい慈愛の目)」
 
俺   「キモいバー」

ハリー 「なんすか、それ?」
 
俺   「いや、その、サバイバーの一種・・・」
 
 

10月3日  裏日記・秘密の心理テスト

 最近、「いけっち店長尊敬してます!」というお便りが多い。

 なにか皆さん勘違いしている。

 人は、異形のモノ、理解できないモノに直面した時、怖れを抱くか、またはそれを無理矢理に肯定し、敬意を持ってしまうかどっちかだと言う。
 
 チミ達が最初にいけっち店長を知った時のイメージは、「うわっ! なんだこのヘンな大人!」だったはずやんけ。
 
 それを今、思い出させてしんぜよう・・・・。
 
 
 
 我がカードキングダム練馬春日店は、男前マダムキラーのシマムーが店長のせいか、ご近所の奥様方にも「子供たちが遊ぶに適した、良い環境のお店」として好評。
 
 この前いらしたテレビ局の人にも、
「子供たちと大人が、すごく楽しそうに一緒に生き生きと! こういう場所があったんですねえ」
とお褒めの言葉をいただいた。
 
 が、シマムー以下、優秀な従業員達が、一生懸命築き上げたその信頼を、無駄にコナゴナにしようとする“エロスいけっち店長”が現れた!!

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 危ないッ、子供たち! 逃げてー!!(この社長の仕事は、一体何なのだろう?)
 
 
いけっち店長「なぁシマムー、マムゲンとかクラやんとか、あの連中はもう中学生だよな」
 
シマムー 「そうですが、なにか?」
 
いけっち店長「ならばもう、エロい話を持ちかけても全然ОKだな? むしろそれを望んでいるはず!!
 
シマムー 「何事も自分を基準に判断しないで下さい。エロ話が好きかどうかは、人によって違うので」
 
いけっち店長いや、中学生の頃といったら、エロい事しか考えられないはずだ!
 脳みその代わりに白濁した液体が詰まっている季節、それが第二次性徴期。上半身より下半身がアドバンテージっ!」

 
シマムー 「おっしゃる意味がわかりませんし、少なくとも僕はそうではなかったと思うのですが、まあ、彼らはそれに近いかも知れません。この前も『揉むぞ〜』とか言いながら、お互い追っかけあってましたから」
 
いけっち店長素晴らしい! 訳がわからん! さすがは俺が見込んだ逸材。よし、早速エロシブルな話をしてこよう」
 
 シマムーの許可が出た(責任転嫁)ので、さっそく少年たちに接近するいけっち店長。たいへん危険です。
 
 
いけっち店長「おいみんな。心理テストやるぞ。いいな。ここにいるヤツ全員参加〜」


 〜エロティカル心理テスト・生贄参加者紹介〜
 
マムゲン  当店のマハラジャ。とても偉そう。そこにしびれるあこがれる。

クラやん  かわいらしい少年で、よく言えばマスコットキャラだが、正確に言うとアホキャラ扱い。本当は利口なんだが、油断が多い。

スターマン まじめな少年。が、まわりがアホだから、まじめに見えるだけなのは間違いない。

M君   当店の従業員。大人代表。



 さっそく心理テストを出題。
 
いけっち店長「白い海、青い砂浜。ここは南国のビーチ・・」
 
マムゲン  「ちょい待て。それはどこの異次元だ?」
 
いけっち店長「もとい、間違えた。・・・青い海、白い砂浜。ここは南国のビーチです。君たちはサーフィンに来ました。とりあえず君たちは、むっちゃサーフィン上手いと思ってくれ。
 
 で・・・砂浜に、君の愛用の“サーフボード”が突っ立っています。
 さて、そのサーフボード、どんな色でそんな材質?
 形は? 大きさは? 特別な模様はある?
 そして、名前を付けるとしたら?
 さあ、順番に答えてくれ」

 
クラやん  「はいはい、俺のは青!」
 
いけっち店長「ふむふむ。青。で、新しいかね?」
 
クラやん  「新しくて、すべすべしてる。名前は“アクア・サーファー”!」
 
スターマン  「あ、取られた。俺も“アクア・サーファー”にしようと思ったのに!」
 
いけっち店長「デュエルマスターズのプレイヤーだなぁ」
 
マムゲン  「俺のは・・白いな。で、青い線が入ってる。ちょっと使ってるけど、古くはない。名前は“プレステ2”」
 
いけっち店長「それは、お前が欲しい物じゃないのか」
 
マムゲン  「むぅ。ばれたか」
 
いけっち店長「クラタン、その“アクア・サーファー”には何か特徴はないのかね?」
 
クラやん  「ようし、それじゃあ、先っちょにガトリング砲を装備!」
 
いけっち店長「ほほぅ。それは強そうだ」
 
スターマン  「それ、どんな時に使うんだよ。僕のは・・白くて、ちょっと大きめなやつ。名前は、なんでもいいや。“ボード”で」
 
M君  「じゃあ私は赤と青のツートンカラーで。中古ですがオーソドックスなモノで」
 
いけっち店長「黄色か・・・大人に聞くと多いんだよな」
 
M君  「何か引っかかりますねぇ・・・」
 
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
いけっち店長「よしよし。じゃあ次の質問。そのボードに乗って、沖合いに出て行きます。で、良さそうな波が来るのを待ちます・・・きたきた。どのぐらいの高さ?」
 
クラやん  「高さ10メートル!」
 
マムゲン  「5センチ」
 
いけっち店長「お前ら・・・極端すぎだ」
 
スターマン  「2メートルぐらい?」
 
M君    「私もですねぇ」
 
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
いけっち店長「では最後の質問。波に乗りまくっている君たち。気持ちよく滑っていたが・・・あっ!と思ったらひっくり返って落っこちた。その瞬間の叫び声は?」
 
クラやん  「ぬぎゃあああ〜!」
 
マムゲン  「シット!」
 
スターマン  「わあー」
 
M君  「失敗した!」 
 
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 いよいよ恐怖の時間!
 
いけっち店長「では答えを。
 サーフボード。
 これは、“波”という快楽をコントロールする道具であり、砂浜に突っ立って登場したところからもわかるように、ズバリ! 男のブツをあらわしている!」

 
マムゲン   「なんだってー! つまりチ○○か!!」
 
いけっち店長 「隠語をそのまんま言うな! だがつまりそうだ! 貴様のブツは白いんだったな! それはそうと、青いラインとはどういうことだ。血管走りまくりか、大変だなオイ。それよりなにより『ちょっと使ってるけど古くない』とはどういう事だこのエロガキ!!
 
マムゲン   「ぬおお、なんということだ!」
 
いけっち店長 「問題は貴様だクラやん! なんでチ○○の先っちょにガトリング砲を装備しとるんじゃ! 貴様、当店のトイレを破壊する気か! 『店長ー、トイレ借りるよー』とか言ったが最後、ズガガガガガガ!!
 
スターマン  「ひどいなお前!」
 
クラやん   「うわぁ! そんなの付いてないって!」
 
いけっち店長 「チャック開けて、『俺の股間が火を噴くぜ!』とか言うつもりか!」
 
マムゲン   「おお、それは強いぞ。さすがクラやん! やっべぇ、勝てねぇ!」
 
いけっち店長 「スターマン、貴様も大人しそうな顔しながら、しれっと『ちょっと大きめ』とは何事だこの野郎! うらやましくなんか無いぞ! うらやましくないってばよ!」
 
スターマン  「そんな事無いって!」
 
いけっち店長 「なにィ! では小さいのか!」
 
スターマン  「いや、そんな事も無い!」
 
 動揺するスターマン。
 
いけっち店長 「続いて波の高さだが、エロスな事を実際に考えた時の、盛り上がりの期待度を意味する!
 端的に言うと、高さ10メートルと答えたクラやん! 貴様はエロい! 相手ももう大変じゃわい。
 逆に5センチとあまりにも萎える答えを出したマムゲン! それは相手の女性に対して失礼と言う物だ!」

 
マムゲン   「ドンマイ」
 
いけっち店長 「ドンマイじゃねぇ! もうちょっとサービス精神ってモンがだなぁ・・・具体的には“ふたりエッチ”を読んで勉強すべきだ!」

M君    「しゃちょおぉぉ!! ストップストップ!!」
 
いけっち店長 「そして波から落ちた時の叫び声だが、エロス行為の達した時の声である! ・・・M、お前・・・何を失敗してるんだ。笑えんぞ!」
 
M君    「あひぃ」
 
マムゲン   「ドンマイ」(わかってんのかコイツ)
 
いけっち店長 「ちなみに俺が心理テストやった時の答えは、コバルトブルーのサーフボードにドクロマーク。先端にドリルを装備したその名も“ねじ込みキング”! 波の高さは100メートルあまりで落ちた時の声は神谷明の声で『ぬぅわ!』でした」
 
M君     「ねじ込みキング・・・セクハラじゃないスか」
 
いけっち店長 「男は心にドリルを持つものだ!」
 
 
 その後も、いくつかの心理テスト(エロいのばかり)が強制的に行われ、少年たちの心に深い傷を残す事に成功したいけっち店長は、心の底から満足し、家に帰って熟睡するのであった。ドンマイ。
 
 子供の教育に悪い店、カードキングダム練馬春日店。




 補足。
 今まで行われたエロティカル心理テストの代表的答え。



 ○どんなサーフボード?
 
「素材は屋久杉から掘り出した高級品。色も塗らないで木目調。太くて分厚い、名前は“権兵衛さん”」
 純和風。日本男児は堅くて強い。 
 
「黒緑でドクロのマーク入り。それほど使って無いけどボロボロで潰れかけ」
 病院へ行け。
 
「色は赤黒くてぬめりのある光沢。使い込んだ愛着のある一品」
 そのまんまやんけ。


 
 ○波の高さは?
 
「1センチ」 
 答えたのは二十代だが、その年でそれほど淡白なのはいかがなモノか。
 
「人類史上かつて観測された事の無いほどの大波。日本を覆いつくすほど」 
 日本ちん没。
 
「成層圏に届く大波。サーフィンで大気圏脱出」 
 アストラル・テンペストおおお!



 ○ひっくり返って落ちたときの叫び声

「おかーさーん」 
 危険。 
 
「だいっきらいだーー!!」 
 誰が。
 
「あひゃひゃうひゃひい」
 狂うな。
 
「次だ!」
 精力絶倫。
 
「ストUのガイルの負けた時の声」 
 ウッボー・ウッボー・ウッボー・・・・・(これはリアルや)


5月12日 裏おやじロック いけっち店長、15歳の自分との対話

 最近、中学生からのメールが多い。
 環境が変化した彼らは、多くのことにとまどい、悩み、苦しんでるみたいです。

 あまりにも数が多くて、しかも全部が全部切実なので、できるだけ多くの相談に真面目に答えたいと思うのですが、僕にも“時間”と言う物理的にどーしよーもない制約があります。

 さて、どうしよう・・・


 その前に、中学生や高校生たちの気持ちを、僕は本当に理解できるのか?と、少し心配になってきました。

 で、深ーい記憶の底から、“14・15歳の頃の自分”を引っ張り出し、自分同士で対談してみる事にしてみました。(そこ、キモイとか言わない)


 結論から言うと、半分はアホ会話になってしまったのですが、あの頃の自分の気持ちをずいぶん、思い出す事ができたように思います。

 劣等感と根拠の無い自信、将来への不安、まわりと同調できない事へのあせり・・・
 人と違う事は劣っているのか? 優れているのか? どうすれば“違い”を“価値”にできるのか?

 真面目な話も色々あったのですが、さすがに恥ずかしいので、ソコはカット。
 ちょっとアホ会話の部分だけダイジェストでご紹介して(意味はあるのか?)・・・そのあと、恥ずかしながら・・・悩める少年たちにメッセージを送りたいと思いまする。





 現在の俺 : すごいぞ、おい、俺は今、社長になってるんだぞ。そんなの考えた? 望んですらなかったよな?

15歳の俺 : 「エルフはどうした。エルフの奥さんは?」

 へ?

「まだエルフと結婚していないのか? 付き合って何年になるんだ?」

 ちょ、ちょっと待て。なんの話だ。そりゃ確かにエルフにあこがれてはいたが、現実にお付き合いなんて、できるはずないだろ?

「なにィ! 貴様! それでも俺か! エルフとつきあってねぇとはどういう了見だ! まさかその歳で童貞か?!」

 ちゃうわい!

「きさま・・まさか諦めたわけじゃないだろうな。
 社長になろうが有名になろうが、最大の目的を達せず、なにイイ気になってやがる!
 忘れたのか、あの流れるような美しい黄金色の髪、輝く素肌・・人間のメス共には到底かもしだせぬ高貴なたたずまい・・」


 見た事あるみたいに言うなよ。

見た! 心の目で!
 俺の脳裏には確かに、理想の彼女としてのエルフ(妖精族)がいる! ローズ・トゥ・ロードのボックスアートを見た時から、それは運命なのだ!」


 デ、ディードリットじゃなかったのか・・筋金入りだな(すげぇな。昔のオレ)。
 でも、だって・・だってエルフなんているはず無いじゃん!

「探したのか?」

 へ?

「探しもせずに諦めたのか! なんという体たらくだ!」

 どこ探してもいねぇよ!

いる! ノルウェーの森の奥に!
 ヨーロッパの深い山の中、妖精界の扉の向こうで彼女は待っている! この僕を!」


 ・・・・・・。

「まさか、ヨーロッパ旅行もできんほど貧乏なのか?」

 いや、そういうわけじゃないけど・・・

「森に迷い込んだ俺は、川の流れる音に引かれて小川に出る。そしてそこで、水浴びをしていた彼女と出会うわけだ。ロマンチックぽえ〜ん」

 いやその、ヨーロッパの森で迷うなんて、そんな危険な事できんでしょ。

「仕方ない。エルフの彼女がいない事は、我慢してやろう」

 やっと現実的な話が出来そうだな。

「しかし、少なくともハーフエルフの彼女は欲しい。これは譲れない

いねぇよ! エルフもいないし、ハーフエルフもいないから!
 もし自分で『私エルフです』って言ってる人がいたら、ヘンな人だから!

「じゃあれだ、今の彼女は、ヨーロッパ人で妥協したわけか。
 人間の中では一番エルフに近いかもしれん。しょせん、偽者だが


 お前・・そんな事今の彼女に言ったら、肉体言語(彼女の得意技は関節技)でキメられるぞ。

「彼女には、エプロンドレスを着せて遊んだりしてないか?

 いや? そんな恥ずかしい遊びはしないが。
 ・・・エプロンドレス? お前、20年前の俺だろ? メイドコスプレのブームなんか来てねぇハズだぞ。

「忘れるな。俺は高校の学園祭で、クラスの女子全員に、エプロンドレスを着せて創作ダンスを踊らせる企画を出した男だぞ!(実話。もうちょっとで実現可能だった)

 20年前にメイド萌えだったとは! お前・・・我ながら恐ろしいクオリティだな。

「ふん。つまり、社長だなんだと言いながら、エルフの嫁も見つけられんわけだな。
 何の夢も叶えとらん無能と言うわけだ。貴様にはがっかりした。ぺっ!


 むぅ・・なんか面目ない気がしてきた。


「ザクの1台ぐらいもってるんだろうな。モビルスーツはとっくに実用化されているはずだ。百歩譲ってアーマードトルーパーはあるだろう」

 モビルスーツの実用化を断言!
 そーかー。・・・・お前から見て20年後だもんなぁ・・・鉄腕アトムが生まれてるはずだもんなぁ・・。
 いや、残念ながら、科学技術はそこまで発展せなんだ。

「・・・親友のNは、ボトムズ(身長5メートル程の装甲騎兵)をつくるため、将来の進路を決めた事、憶えているだろう」

 ああ、小学校から中学校まで一緒だった同級生。

「奴はすごい・・おれが始めて、心の底から尊敬した同世代だ。
 ボトムズを作る、そのオリジナリティの高い、誰とも違う夢のため、奴は自分の進路をきめた。
 普通なら、ボトムズそのものをつくるため、技術系の学校にいくだろう。
 それなのに、奴が選んだ道は凄かった! 本当にリアルだった!

 士官を目指して、中学卒業して即、自衛隊入隊!


『将来、ボトムズを作る技術力はあるはずだ。
 しかし、例え作る技術があっても、作る意味が無ければ作られない。
 だから俺は、自衛隊の幹部になって、装甲騎兵の実用性について説得力のある戦術論を組み、“ボトムズを作る命令を下す”!』」


 !! あ、あ、あ、・・・!!

「憶えているだろう。あの時のショックを。
 小学生の時から一緒にバカやってたあいつが、そのバカセンスの夢を、現実に移そうとしていて・・しかも、そのまま自分が作るんじゃなく、“作る理由を作る”という立場になろうとしていた・・
 世の中の仕組みを理解していないと、考え付かないアイディアだ!



 そ、そうだ、確かに俺は、あれで目が覚めた。
 世の中の物事は、ただなんとなく、勝手に起こっていくんじゃない。誰かが考え、動かしていくんだ。
 何かを作る・・それは、直接作る人間だけでなく、それを作ろう、と最初に誰かが言ったからこそ作られたんだ。

何かをやろう!と言い出すこと。それが出来る人間が、世界を形作っていく。
 思い出したか?」


 ああ。思い出したよ。

「そう出来ているか?」

 ああ。むしろ、俺にはそれしか出来ない。
 だからこそ社長であり、実際に物を作れる優秀な人達に助けられているからこそ、社長をやれるんだ。

「ほぅ。仲間に助けられているか。運だけは良い様だな。・・・しかしエルフは見つけられんのか。不幸だな」

 いや、不幸とは思わんよ。
 しかし何だ、中学の頃の自分と自問自答して、色々と気付かされるとはな。
 でも、お前ちょっと色々と歪みすぎてるぞ。ろくな大人にならんのじゃねーか? 俺が言うのも果てしなく変だが。

「ふん。おれは将来をこう思ってたよ。野垂れ死にか、なにか変な立場になってるってな。95%は野垂れ死にと思ってたが。よほど運が良かったらしいじゃないか」

 ああ、全くだ。

「せいぜい、増長しないようにな。お前は本来、卑屈な性格のはずだ・・・」

 ほっとけ!




 何か変な話になってしまいましたが、まあ、たまにはよろしいかと・・・

 しかし、これ以外の話では、けっこう真面目に色々思い出したりして。昔の自分は昔の自分で、色々と考えていたみたいです。
 中学の頃は、世界が見え始めるがゆえ、まわりが馬鹿に見えたり、逆に自分の限度の小ささを思い知らされたり・・・劣等感と根拠の無い自信、それらのないまぜになった、

 「わかり始めるが故、何もわからない」という時期だったように思います。
 本心では救いを求めながらも、他人に頼りたくない気持ちがそれを大きく上回るため、自分ひとりで解決できない事を内に溜め込んでしまう。
 それをどうにかして解決、あるいは昇華できれば良いのですが、上手くいかなければ心の中に“歪み”として残してしまう事になりかねません。

 ただ、
悩み、
苦しんだ経験、
思い通りに行かなかったり、
納得のいかないことを受け入れ、
我慢した事。

 これらは、心を鍛え、柔軟で折れにくい人間性を生み出す事につながるでしょう。

(根拠の無い話ではなく、最近の学説では、脳幹をストレスで鍛える、と言うそうです)


 少年よ、大いに悩み、そして苦しめ。
 世界は決して優しくなど無く、甘くなく、不条理で、納得のいかないものなのだから。


 どれだけ愛しても愛されるとは限らず、努力しても報われるとは限らない。等価交換など真理ではないのだ。(いや、『鋼の錬金術師』を否定している訳じゃない)

 納得のいかない事だらけだが、それに対して冷めてしまった者には冷めた世界となり、怒りを持ち続ける者には闘い続けなければならない、修羅の世界になるだろう。

 しかし、苦しみと闘い続ける事のできる者のみが、本当の勝利を得る事ができるのは間違いない。
 ただ、何となく、いつか、運よく幸せになれるのを待つ・・・
 そんな人生を送っているうちに、気が付くと若さを失っていく。そんな人生は、取り返しが付かない。

 毎日毎日を、新しい発見と、経験に使うべきだ。
 苦しんだ経験。
 何かを勝ち得た経験。
 笑い、憎しみ、後悔し、感謝した経験。
 人間同士を通じて、自分自身で本当に経験した事のみが、自分を作り上げていく。
 そして、不条理や悪に対して闘った、あるいは折れなかった記憶が、自分を信じる誇りを生み出していく。

 自分が実際に積み上げた経験。これだけが、自分の“オリジナル”。
 それが、他の誰とも似ていない、“君自身”だ。



 ・・・エルフの奥さんを探すのは、やめとこう。