トップカードゲーム戦記お母様 VS カードゲーム 後編


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お母様 VS カードゲーム 後編



 続きです。(前編中編

「かしこそうな文章で、奥様にもご納得頂けた事だろう。『まあ、いけっち店長さまって、色々お考えなのね。ステキ!』とか思ってもらえたかしら。んふんふ」とか油断していると、更なる問題提起が。



池田店長さま

 また長いメールになってしまい、恐縮です。お暇なときにお目通しいただければ幸いです。

 お忙しいなか、丁寧なお返事をありがとうございました。
 私も自分が送ったメールを読み返し、「悪質」「マヌケ」「ポリシーがない」等々、随分な物言いをしたとちょっと反省しています。
 
 ご説明いただいて感じたことは、つまりカードゲームは、倫理観が確定した(要するに、やって良いことと悪いことがちゃんとわかってる人)大人がプレイする分にはなんら問題が無さそうだな、ということです。

 デュエルマスターズが、カードゲームプレイヤーの年齢層を引き下げた、ということをあちこちの店長さんたちが言っておられます。(引率の親の数が多い、とかね)
 
↑ここに問題があるのではないでしょうか?
 
 子供たちの倫理観なんてまっさらなもんです。
 していいことと悪いことの基準ときたら、
「楽しいから良い」
「人がやっていることだから、自分もやって良い」
「大きい子達がやっているから、真似して良い」
「かっこいいから許される」
「相手がOKしていれば、問題ナッシング」
「損する方がマヌケ(!またこの言葉…!)」
てなところでしょう。


事例1.  DMプレイヤーの中学生のホームページの日記にこんな箇所があります。
「今日◇◇◇の大会へ行き、金銭トレードで1万5000円儲けた。友達の○○は2万円稼いだ。◇◇◇へ来れば、金には困らねー」

事例2. 同じく中学生の日記。「今日◎◎◎の大会でシャークしまくった。収穫はこれこれ…」

事例3. デッキやらカードを盗る子はかなり多いです。
 うちの子供たちやその仲間は、「○○くんは人のカードを盗るんだよ。」と言いな がら、 友達づきあいを続けたりしています。」
 私が、「なんで友達のものを盗むような子と友達なの? そんなの友達じゃないじゃない!」と言うと、「でも、気が合うし、一緒にいて楽しいから」と平然としたものです。

 わが家は○人兄弟なので、連日子供たちが10〜20人やってきて、TVゲームやカード大会で大騒ぎです。そんな時にも時々「△△△(カード名)がない!」という声が上がることがあります。
 辺りを探して見つからないときには、私は「じゃあ仕方ないから、みんなの鞄を調べるよ」と言えるようになってしまいました。
 以前は、他人を疑ってはいけない、持ち物検査なんて失礼なことを友達にやってはいけない、と子供たちに言っていた私が、です。
 実際に、帰って行こうとした子のポケットから、お年玉をはたいて買ったスーパーレアカードを、奇跡的に回収した事もあります。

 事例1〜3の子供たちは、近所の子あり、遠くに住む大会友達ありと様々ですが、みんな悪気がある子には見えないのです。
 私は、自分の道徳観が古くて、現代に合わなくなっているのかしら?と混乱しかかっています。


 カードゲームにはそれだけの魅力があり、誘惑されてしまうものなのでしょうが、この子供たちが大きくなったとき、酸いも甘いもかみ分けた懐の深い大人になるのか、倫理観の緩んだ大人になるのか、どっちだろうと不安になってしまいます。
(誰かに「大丈夫! みんな、まっとうな大人になるよ!!」と保証していただければ、もう何も言いません)


☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 私がまあ良いと思っている近所のカードショップは、子供がカードを売るときには親の承認か一筆が必要、ただし、子供のカードをお店のカードとトレードするならいつでもOK、というところがあります。
 ここは店長さんもしっかりした感じの方で、こういうお店なら子供を行かせても大丈夫(?)と少し安心しています。

 一方で小学生が持ち込んだカードでも、それなりの=結構な=値段で平気で買ってくれるお店もありますよね。こういうのはちょっと親としては「?」がつきます。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 結論(と言えるかどうか)ですが、カードゲームが「不平等性を楽しむ」もので「征服欲」を前提としているなら、せめて、子供たちに、

「お給料もらっている身分でもないのに、金銭トレードでお小遣い稼ぎなんて10年早い」
「人のものを盗んではいけない」
「置いてあるカードを自分のものにするのはネコババという悪いことである」
「フェアにやろう(シャークはいかん)」

 などのようなことを、池田店長さんやデュエルシャッカーショウさん、おはスタの山ちゃん、松本しげのぶ先生、コロコロコミック等の紙上、大会のスタッフの方たちから呼びかけていただければと思いますが、いかがでしょうか?
 大会には、落し物・忘れ物預かりコーナーを必ずデカデカと設置するとか。
(拾ったカードをどこに届けていいのかわからずに、自分の鞄にしまう子もいるのではと思います)

 私も、自分の子供や家に来る子供たちには言うようにしているのですが、どうも説教じみて押し付けがましくなってしまい、そうなると子供たち(特に自分の子)はあっという間に聞く耳を持たなくなってしまいます。

 店長さん流の、わかりやすくて面白くて惹き込まれてしまう語り口で、さりげなく少しずつでも発信していただくことはできませんか?

 たぶん大人の方々(メーカーの方も含めて)は、子供たちのこういう実態をご存じないんだろうと思います。

 私は、自分のひとりよがりかもしれないし、大げさに考えすぎているのかも、と自信がないのですが、必要とあれば、そして効果が少しでも期待できそうならば、こういった呼びかけをお願いする手紙を書いても良い覚悟ではあります。
 ただ、なにぶんにも、(もうお察しでしょうけれど)猪突猛進、周りが見えなくなるタイプですし、そういう訴えが、決定権を持つ人たちの目に届くものかどうかわかりませんし…。

 お手すきのときで全く構いませんが、前回同様、率直なご意見をお聞かせいただければうれしいです。



 確かに大きな問題です。

 最初のお話しですと、「トレーディングカードゲームのシステムそのものが悪い」との事でしたので、「新しいゲームである」という説明をさせて頂いたのですが、それゆえの問題点、盗難∞不平等な金銭トレード≠ノついては、今までも問題とされながらも、誰も対策に向けて行動できていないのが現実です。

 当然、我々の及ぶ範囲でカードの盗難などがあった場合、大人の責任として、その子供を教育します。親、学校、場合によっては警察まで呼んで、徹底的に叱りつけ、二度とこのようなことが無いように、いかに悪い事をしたのか“理解”させます。
 事件そのものを、叱り、教育する“チャンス”と受け止めます。

 が、実際には、カードゲームに対する理解不足(子供に対する、と言ってもよいでしょう)から、事件発生→カードが悪い・と単略的に理解し、そのままカードゲームを禁止にすることだけで事態を収拾しようとする方々が実に多いようです。

 気持ちはわかりますが、なすべき子供の教育から逃げまわっているようですよね。
 そもそも、他人の子供をあまり叱れない、現在の日本の風潮が、子供の教育の場を少しずつ奪っているのではないでしょうか?
 子供は国の宝。大人たち全員で見守り、よその子供でも、間違っていれば正してあげる。これが本当に、「子供を大切にする」ことのはずです。

「よその子供を叱ると、色々と問題が起こるから放っておく」
 これはつまり、自分を守っているだけです。キチンと正してあげるべき子供に対し、わが身可愛いさにあいまいに対応しているだけ。

 こういうのを、子供は敏感に感じ取ります。
「ああ、今この人は、僕を怒るべきだと思いながら、しかし自分のほうが大切だから何も言わないんだな」
 ここまではっきり理解しなくとも、そういった機微は感じ取ります。そりゃ大人も尊敬されませんわ。
 信用される大人って、正しい事にまっすぐ向かえる人ですよね。とくに子供の前ではそうすべきだと思います。

 お母様も、お子様の友人の鞄検査をした時にスーパーレアが出てきた件、満足いくほど強く、叱れなかったのではないでしょうか。歯がゆい思いをされた事と思います…。
 そのスーレアの件では取ったのは小学校一年生と、家庭の教育環境によってはまだまだ倫理観の身に付いていない子供がいると思いますが、小学校も、高学年になると、もう言い訳できないと思います。
 この、情報の溢れる現代社会において、「万引きが悪い事だと思わなかった」というのは、すでにありえないですよね。
 このような場合、ただ単に言い逃れをしているか、または、現実を認識できていない≠ゥのどちらかだと思います。
 これは、とある私立学校の、非常に熱心な学年主任の先生に聞いたお話ですが、例えば、万引きしてそれを必死に否定する子供の中には、自分が悪≠行ったという事実を受け入れられず、虚構の中に逃げ込んでしまう事があるのだそうです。

 もはや彼にとっては、万引きした≠ニいう事実がフィクションであり、取っていない≠ニいうフィクションが事実≠ネのです。本気で信じています。
 嫌な事、失敗したことは『自分に関係ない出来事』と信じているのです。
 ほんとうに恐ろしいことだと思いました。

 何故こうなってしまったか、は、おそらく現実感の喪失にあるのではないか?と思います。
 実際の自分の生活より、マンガ、テレビゲームの物語の方が、ともすれば現実的に感じられるようになってきているのではないでしょうか。
 これは、よく言われる「リアルなゲームや映画で、虚構と現実の区別がつかなくなり云々」というのとはちょっと違いまして、ようするに、どっちで“より多く努力したか”で価値観の比重が変わってくるのではないか、という考えです。
 RPGのレベル上げなどで、努力した記憶や経験はあっても、現実での自分が、「ものすごく努力して、何かを手に入れた」「悪い事をして、思い切り殴られた」などの体に刻み付けられたリアル≠ニいう、本当の経験を身に付けていないと、「失敗してももう一度」というゲームなどの虚構世界の定理が、現実の自分の身についてしまうものなのではないでしょうか。

 僕はこう考えます。
 万引きをしたという自分が確かに行った事実から、逃げるような人間を育ててはいけないと。

 どんなことも、良いことも悪いことも、きちんと自分の経験として受け入れるよう、良いことをしたときはしっかり誉めて、悪いことをした時はしっかり忘れないよう叱ってあげるべきだと思うのです。



 池田店長様

 重苦しいようなお問い合わせに、またもご丁寧なお返事をありがとうございました。

 考えてみれば、毎日大勢の子供たちが訪れるお店であれば、店長さん達(フューチャービー徳島さんに限らず)のほうこそ、万引きその他のトラブルで心を痛めることが多いかもしれませんね。

 私も、今回のメールのやりとりを元にじっくり考えて、できることを身近なところから実行していきたいと思っています。

 何より、「カードゲームさえなければ、こんな苦労(いらいらとかハラハラとか)をしなくても良いのに」と考えていた見方が、私のなかで変わったのが収穫でした。
 でも、このように思っている母親たちは多いと思います。

 思い起こせば、「友達のものを盗る」ということに限れば、カードゲームだけの問題ではありませんでした。
 うちに来る子供たちについて言えば、カードの前はベイブレードでした。
 今でこそ店頭に山積みになっていますが、ちょっと前は品薄で、開店前に何時間も並んだり、イベント会場へはるばる出かけなければ買えませんでした。
 こうして苦労して手に入れたものが、なぜかどんどん家の中から無くなっていくんですよね。

 ベイブレードブームが我が家から去って、ほっとしたと思ったら、今度はカード…。
 カードは持ち去りやすいし、レアなものは高額だし、換金・金銭トレードなど、子供がお金をもてあそぶ状況に陥りがちだしと、より親の目の敵にされやすい気がします。

 余談ですが、ベイブレードも確かタカラさんの製品ですよね。
 子供の頃はリカちゃん人形を愛用していた私ですが、親となってからはタカラさんを恨んでいます^^;
(店長注:いやいや、タカラさんはちゃんとしたなメーカーですぞ。リカちゃんだって今でも続いてるじゃないですか。セーラームーンドールの一時的なブームで売れなくなり、採算が取れなくなった時も、『ずっとリカちゃん人形を愛して下さっているお客様のためにも、やめる訳にはいかない』と、頑張ったのです。マジ話。今は母から子へ、受け継がれる人形になってますよね)

 それはそれとして、改めて今回は有り難うございました。
 売る側の方とこういうお話をしたのは初めてです。
 やっぱり、大人同士、お店・メーカー・親が連絡を取り合うことは(特に子供が小中学生の間は)必要だなーと感じました。



 お母様とのやり取りは、以上です。
 確かに「盗った、盗られた」などの問題は、何が流行っても起こりうる問題だと思いますし、特にカードは携帯性に優れ、証拠も掴みにくい(1枚1枚名前を書くわけにもいきませんし)という弱点があります。

 ですがそれは、事件そのものが悪いのであって、カードゲームが悪いわけではありませんね。
 子供達は喜んで、カードゲームというホビーを選び、楽しんでいます。
 問題の起こりやすい点をどうすればよいか、考えるのはメーカーの仕事だと思いますが…。

「たぶん大人の方々(メーカーの方も含めて)は、子供たちのこういう実態をご存じないんだろうと思います」 というご指摘、玩具メーカーにとっては、「わかっていても手を出せない事項」なのではないかと思います。
 もちろんメーカーも、しっかりした企業理念という物があって、「儲けりゃいい」が筆頭ではなく(多分…)良いものを作って、お客様に喜んで頂いて初めて、自分たちに誇りを感じることができるのだと思います。

 が…万引きはダメだとか、不平等のない交換をしっかり啓蒙しようとしても、「だったらそんな物最初から売るな」と問題の本質を論ぜず、ただ単になくしてしまおうとする人達が、実際多いこと多いこと。
 娯楽や夢を売る、“必需品でないもの”を売る商売というものは、そういった心ない非難に弱いのです…。

 さて、とはいえ我々も、専門店を名乗っている以上、何らかの形で業界、お客様に貢献する義務があります。
 我々がぜひ、お役に立てて頂きたいのは、
「当店通販コーナーのシングル価格」
 これです!

 「なんだよ営業活動か?」と思わないで下さいね。
 “トレーディングカード”がホビーとして、親から子へ受け継がれるほどに成熟している欧米では、すべてのカードの市場価格が、リスト化されている雑誌が大昔からあるのです。
 コレクターは子供の時からみーんなこれを読んでいて、だからこそ安心して等価で(いわゆるシャークができない)交換する事ができるのです。

 また、この本で「売ればいくら、買えばいくら」とだいたいの金額が書かれていて、それが基本的に全国で通用する価値となっているため、自分の買ったカードがいったいいくらの価値を持ち、「財産として」カードを持っている、という安心とプライドをも持つ事ができるのです!
(今、ドイツで遊戯王カードが人気ですが、なんと1パック800円程するそうです! それでも彼らは納得して買っている。価格紹介の本に、かなりの高額で記載されているから。財産になる、と思えるからなんですね)

 「シャーマンキングカードやドラゴンドライブを集めていたが、紙切れになった。カードゲームって、こんなモン?!」と思ってしまう我々日本からすれば、夢のような事ですが、事実です。
 日本はカード後進国なんです。

 権威のある、納得できる“価値”が提示されてこそ、ホビーとして認められるのです。
 安けりゃ良いって物は、消耗品であり、コレクションではありませんよね。

 さてそこで、見ていただきたいのが、当ホームページのシングル価格。これをトレードなどの価値の目安にしてみてはいかがでしょうか?
 別に買わなくても、見るだけならいくらでもタダですからね。いくらでも利用して下さい。

 なぜなら、当店のシングル価格は、我々の思い込みや販売戦略によってつけられている価格ではなく、日本全国からの、非常に多くのお客様からのご注文数により変動する、いわば「日本中のユーザーによって決められた総体的な価格」なのです。

 つまり、例えコモンであっても、強いカードを安い値段にしてしまっては、あっという間に売切れてしまいます。
 また、買い取りしようとしても、安い値段でしか買い取れないのであれば、みんなせっかくの強いカードを安い値段では売りたがらないでしょう。
 逆に、どんなに珍しいカードでも、高すぎては皆さん買いません。そういうカードは値段が下がっていく事になります。

 つまり、利用者数が多く、かつ売り切れが少ない店でのシングルカードの価格データは、人気のバラメーターになる、ということです。
 もし地元にそういう店があるのなら、その店のシングル価格もチェックしておくと、自分の街での人気具合もわかって、さらに正確なデータになるでしょう。
 これをトレードの目安にしていれば、大きく損をする事はないのではないでしょうか?
 少なくともそれによって、「シャークトレード(不平等なトレードを、騙して行う事)」から身を守る事ができるようになると思います。

 皆さんも、大切なお友達がヒドいプレイヤーによってシャークされないよう、教えてあげてください。
 そして、カードゲームがずっと、安心して楽しめる物になるよう、価値を守っていきましょう。
 我々は、皆さんからご注文いただいた売れ行きをデータに、シングル価格を提示させて頂きます。


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