FB徳島カードゲーム戦記カードの穴


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 読者参加コーナー・カードの穴 2号 『カード業界に何をもとめるか』 (後編)


 とうとう後編、今回紹介しますのは大人の方たちからのご意見です。



 後編最初のお便りは、大人から見ての子供用カードゲーム界の問題点について。
 当HPは、カードゲームを親子で楽しむ方々が、お子さんと一緒に見て下さっている事も多いそうで(エロスはたいがいにすべきかも・・・)、お父さんからのお便りもたくさん来ます。


 
 コンビニやおもちゃ屋に行くとたくさんの種類のカードゲームがある事に驚き、子供雑誌などでも特集が毎月のように組まれていることに、また驚き…

 自分は30代ですが、カードゲーム…デュエルマスターズですが、この世界を知ったのは親戚の小学生がハマり、勧めてきたのがきっかけです。
 もともとガンダム世代で今もガンダム好き、よく子供達のゲームの相手も務めているし(好きで遊んでた) この大人ならいい遊び相手になるぜ〜、というのを見抜かれ勧められるがままデュエルしたらボロ負け…
 それから、自分でスターターを購入し、FB徳島さんのHPとの運命の出会い!などを経て立派?な、おっさんデュエリストになってしまいました。


 そんなほぼ素人カード好きですが、現状のカードゲーム業界はどうかな?と思う点もあります。

1.ルールの多様化による間口の狭さ
2.キャラクター先行の一過性ブームの危険性
3.都市部中心の大会、イベント
4.親に対する受けの悪さ

等、挙げればキリはないですが…


 こんな事がありました。

親戚の子供S 「ナルトのアニメって面白いなぁ〜、カードゲームも面白いんだろうなぁ」

自分 「じゃあ、クリスマスだしスターター買ってやるか(しめしめ安く済んだぜ)」

 購入…説明書を読む… ???!!?? いまいち理解出来ないままプレイ。

自分 「なぁ、これって面白い…のか?」

S 「つまらない、わからない、こんなのいらない、DMのカードのほうがいい」

 結果的に安く済まなかった訳でした。
(店長注・いやいや、それはルールブックが分からなかったせいかと。ナルトはけっこう、評価されてますよ)

 アニメがヒットするとカードゲームが発売され、ルールが全部違う上に理解しづらいマニュアル。
 …メーカーやデザイナーからすれば覚えられないほうが悪い的な考えもあるんでしょうが、普及しているフォーマットを上手く利用し、その上で独自性を持たせるシステムを作って欲しいです、プレイするのは子供なのですから。

(店長注・かと思うと、『何にも似ていない斬新なゲーム性を!』と言う人もいます。だからどっちも必要なんだと思います。
 実はDMや遊戯王もかなり独特なシステムなのですが、マンガやアニメで知名度が高いなので、窓口が広いのでしょう)


 また近所の子供たちの親はカードゲームに対して心良く思っていません。
 お小遣いをすべてカードに使ってしまったり、力づくでレアカードを取られたり…と、この場合は親の責任も問題なのでしょうが親はそう思いません。カードがあるから悪いんだ!と結論付けます。
 もっとメーカーサイドでもカードゲームを知って貰うイベントを増やしたり、親の理解を得る努力が必要なのでは?と感じます。
 地方の市や町でのイベントを増やしたり、FB徳島さんのような販売店、小売店さんに協力を求めて健全なカードゲームの普及を努める義務がメーカーにはあります。


 池田店長の言う通りホビーとしてはまだまだ未成熟なジャンルにあるでしょうが、過当競争と商業主義によってバブル化しているのではないかと感じます。
 目先の利益よりも5年後、10年後のカードゲーム業界に少しだけ目を向けて欲しいです。


 以上、拙文の上、長文になってしまい申し訳ありませんでした。


・・・と、まぁ偉そうなメールでしたが実際は裏日記を愛読し共感するエロクリーチャー

卑猥男
1マナ へドリアン 攻撃力0
このクリーチャーが場にいる間、全てのプレイヤーはエロくなる。


なのでした、今後も楽しく愉快なエロスのFB徳島を支持しますんでよろしくです。


店長 「子供たちの間で、何かの遊びが流行ったら、必ず何らかの問題が起こる。
 で、いつも解決方法は『その遊びを禁止にする』だ。
 本当にそれで良いと思ってるのか?!」

ハリー「店長は昔、色々やってましたなぁ。
 近所の学校の校長先生や、生活指導の先生に会って、カードゲームの長所、問題点、子供たちの間でトラブルとなった時の解決法などなど、よくお話してました」

店長 「そりゃあ俺は、カードゲームは子供の教育に良い遊びだと考えているからな。カード取ったり取られたり、というのはその行為そのものが問題なのであって、カードのせいじゃない。
 つまらん誤解と、『くさい物にはフタをする』方式の下劣な解決方法で、この素晴らしい遊びを滅ぼされてたまるか!!」

ハリー「実際、カードゲームをやってると、いやでもコミニュケーション能力が必要になってきますからな。トレードなんかをしてると交渉の仕方も覚えますし、それはつまり、『相手の考えや気持ちを理解する』事につながります」

店長 「そうそう。しかしまぁ、何と言っても、カードゲームは全く新しい物で、普通の大人にはどんなものか、まったく全然解らないのよ。解らないものだから否定する、というのは心の動きとしてはよくわかる」

ハリー「しかしそんな狭い了見で、カードゲームを否定(否定にすらなってないが)されてはかないませんな」

店長 「この人の意見のように、メーカー、小売店、一体となって、カードゲームの良さを理解してもらうよう、働きかけるべきだ。『自分たちは子供に良いものを作っている!』という自信があるならできるはずだ!! 無いなら売るな!!」

ハリー「そうですね。我々は小売店ですから、小売店の出来る事として、地域の学校の方々とは出来る限りお話ししておくべきだと思います。
 さっきも言いました通り、『知らないから、悪く解釈する』のであって、デュエルスペースにしても、一昔前のゲームセンターのように思っている人が多いんですよ。タバコの煙と、恐喝の舞台、みたいな」

店長 「だからうちなんか、わざわざ学校の校長先生やら警察の人に来てもらって、デュエルスペースで遊ぶみんなの姿を見てもらった。すごく安心してくれたよ。『いやあ、大人と子供が分け隔てなく、笑顔で遊んでますな。まさかこんな場所があったとは、驚きました。』って」

ハリー「テレビに映ったとき(徳島テレビ)も、そんな風に言われましたね」

店長 「そう。だから全国のカードゲーム屋さん、もっともっとカードゲームの健全性をアピールしましょう! 大人と子供が一緒に楽しく遊べるカードゲームは、やっぱり素晴らしいんです!!」




次のお便りは、当店と同じようにカードゲームを販売していらっしゃる、 小売店の方からのご意見です。


  各カードゲームについて箇条書きで書いていきます。


1、ガンダムウォー(バンダイ)
 一昨日お客さんから
「新弾がでるのが早すぎて、こづかいが追い付かない・・・。」
と、いわれました。

 ガンダムはサポートもルールもよくできていて非常にいいゲームなのですが、年に3回以上新弾が出ているので学生がやるには少々資金不足のようです。
 プレイヤーの為に少しスピードを緩めてほしいという事ですね。
 (店としては売れるので構わないのですが ボソ)


2、金色のガッシュ(バンダイ)
 「ダニー」や「やさしい王様(プロモ)」等の必須系カードが高すぎます。
 限定カードなので子供には手に入りにくくなっています。
 いつぞやのグミのオマケのように再録してほしいところです。


3、ドラゴンボール(バンダイ)
 デッキの枚数が少ないのか一撃で決着がついてしまいます。
 少しルールを調整する等を希望します。
 (神龍カードに日の目を〜〜)


4、デュエルマスターズ(タカラ)
 ルールも簡単で憶えやすく、コストも低い。
 子供に大人気でいいのですが、コンビニ等でサーチが横行しています。
 タカラさんが色々と対策を講じているのはわかるのですが・・・。


5、遊戯王(コナミ)
 2、3年前とは見違えるぐらいよくなりました。
 担当の方に感謝御礼です。
 このままゲームバランスを維持し続けて下さい。


6、カード業界全体へ
 カードは大人でも子供でも関係なくできるものだと思っています。
 ただ、今のバンダイさんのカードゲーム(あくまで一部人の意見ですが)は「子供向きではないのではないか?」と考えがよぎります。
 小学生等はこれから中学、高校、社会人とカードをしていくかもしれない貴重な財産です。
 そういう若年プレイヤーを大切にしてあげてください。


 以上です。
 が、半分以上が個人的な要望の様な気がしなくもないような(汗


ハリー「やはりどこの人も、同じようなことを考えるものなんですねえ」

店長 「と、いう事は、やはり問題だ、ということだよな。

 しかし、ガンダムウォーの年3回新作が出るのが子供たちにキツイ、というのはわかるが、新カードが出るのが遅いとゲーム環境が変わらず、すぐ飽きてしまうから、俺は必要な事だと思うが。
 そもそもDMと違い、ガンダムウォーは、レアカードに強力、かつ必要なカードが集中している“レアゲーム”なので、もともと経済力で客を選ぶゲームなんじゃないかな?
 お客さんもよく、「金が続かねぇ〜!」とか言ってるが、実はそれ故に支配欲をかきたてられ、意地になって深くはまってゆく、というギミック。
 俺がよく言っている「レアをぶん回す爽快感」というカードゲームの暗黒面が充足される、という意味でも、ガンダムウォーは良く出来ている(断っとくが、イヤミではない。本気)」

ハリー「しかし、レアがある程度強いのは認めますが、プロモが強いゲームはダメですよね」

店長 「あったりまえだ。なにしろパックをいくら引いても手に入らないカードなど、よっぽどの支配欲じゃないと“折れる”わい。
 特に大人にとって、最も貴重なものは時間だ。期間限定とか、売り切れたら終わり、なんてカードが出て手に入れ損なった瞬間、そのゲームに対する執着も途切れる(シャーマンキングやドラゴンドライブを見よ)」

ハリー「まったくですな」

店長 「新作発売ペースの問題に話を戻そう。
 『一年に3回では金が続かん』という意見と、『だからといってなかなか新作が出ないと飽きてくる』という問題点。
 特に子供たちは飽きるのが早いぞ〜。彼らの1日1日は、大人と比較にならない充実度だからな。
 と、いうわけで、カードの数が50種類ほどで集めやすい、“小型エキスパンション”を、2ヶ月に1回ぐらいの細かいペースで発売する、というのはどうだろう?」

ハリー「ふむ、悪くないですね。ただ、発売間隔が短すぎると「あれ? いつも間にか知らないエキスパンションがいっぱい? もうついていけないよ〜」という事態が起きてしまいかねませんので、雑誌や小売店でのサポートが大事ですね」

店長 「他の意見、2のガッシュや3のドラゴンボールについては、オレも同意見だね。
 ガッシュのような、カードダス専用カードが存在してあとから手に入らないというゲームには、必要カードを再録したセットが必須だろう」

ハリー「再録セットといえば、マジックや遊戯王やガンダムウォーが有名ですが、たしかナルトやファイヤーエムブレム、アクエリアンエイジやモンスターメーカーとかいろいろ出てますので、メーカーにも必要なものと認識されているようですね」

店長 「うん、再録セットが出るのはいいことだね。ユーザーが始めやすく、満足いくデッキが作りやすくなる。
 バンダイのゲームではニーディロクゲームズ(ゲームデザイン会社)さんが作っているゲームにしか再録セットが出ていないところを見ると、バンダイでは製作会社さんによって販売展開もある程度違うのかな?」

ハリー「けっきょくバンダイに関しては、メーカーよりも製作会社ですね」

店長 「6の『バンダイのカードゲームは子供向けではないのではないか?』との意見は、アニメ原作モノは対象年齢が広くなりがちだから、ある程度は仕方ないかな。
 良く言えば窓口が広い、悪く言えばどっちつかず」

ハリー「子供向けに特化しすぎると、ドラえもんTCGみたいにトレーディングカードとしてしか見られなくなりますしね」




 次は、現役のカードゲームデザイナーさんからのご意見。
 「何を作った誰々さん」であるかは言えません。また、念のために明言しておきますが、私が直接お会いした幾人かのデザイナーさんの誰かでもございません。(守秘義務のややこしい業界だのぅ。)
 ですが、さすがに業界に身を置いて実際に商品を作っている方だけあって、プレイヤーや、ショップ関係者とはまた違った切り口で意見を書いておられます。


 現在のTCG業界

 メーカーにとってのTCGは現在キャラクター商売の1ジャンルという位置づけにあると思います。たしかに強いキャラクターを乗せ、それによって継続した売り上げを見込むことができる商品としては他に類を見ないものです。
 一応似た傾向のものとしてはオンラインゲームがありますが、技術的な問題や必要ハードが多いことによる敷居の高さもありTCGの方がジャンルとしては有望だといえます。


 一方ユーザーとしてのTCGに求めるものは何でしょうか。その最低基準をあげてみます。

1.「カードとして収集する魅力」がある。
 好きなキャラクター(アニメ、漫画、映画等)や、好きなイラストレイターのイラスト、であること。イラストそのものはもちろん、その雰囲気に即したフォーマットのデザインが求められます。

2.「面白いゲーム」であること。
 ゲームの難易度や、奥の深さはもちろん、イラストなどとも連動したゲームの雰囲気も重要です。

3.「遊べる環境がある」があること。
 大会の開催などがこれにあたります。

  これらのすべてが一定の基準で満たされているものが、ユーザーが求めている商品ということになります。
 しかし残念なことに、現在それらを一定以上の基準で満たしているTCGは本当に少ないです。
 どの要素が欠落しているかというと、2「ゲームの面白さ」3「遊べる環境」が基準を満たさない場合がほとんどです。多くの人が発売を知っており、魅力的なキャラクターを採用していても、これらが基準を満たしていなければキャラクターを浪費することになってしまいます。

 こういったことが起きる主な原因は、発売を予告した段階では「ゲーム内容が公開されない」ということです。
 このため、商品内容を検討する材料がキャラクターの人気や告知の規模位しかなくショップとしてはそれを基準に商品を仕入れるかどうかを決定しなくてはなりません。
 こうなるとメーカーとしては人気のあるキャラクターの採用と発売の告知に力を入れることでとりあえず利益を確保しようとします。そこさえクリアしておけば短期的な利益は保証されるため、商品を継続して売るための要素である2「ゲームの面白さ」3「遊べる環境」は後回しになってしまいます。
 こういった状況が続くと、継続したユーザーとなる可能性があった人々を他のホビーに流出させてしまうことになりかねません。


 では発売を予告した段階でゲーム内容を公開することで、この状態を脱却できるかというとそれだけでは難しいといわざるを得ません。
 なぜならこの場合の受け手であるショップ側にそういったゲーム内容チェックをするノウハウがないためです。ゲームの面白さの基準というものは、それぞれの個人によっても異なりますし「そのゲームを手に取る人間が面白いと思うかどうか」ということを判断する方法が存在するのであれば、そもそもそれをメーカー側が発売前のゲームをチェックすることに使えば良いということになります。


 では「ゲームの面白さ」を向上させるためにはどうしたら良いのでしょうか。ここではいくつかの方法を挙げてみます。

1、ゲームのデザインにかかわった人間の名前を公開し、ユーザーやショップが注文前にゲーム内容を判断する要素を増やす。

2、メーカー、ショップ、問屋などの関係者ではない可能な限り利害関係を廃した外部の人間のみによって構成される評価機関を設置する。
 TCGゲーム大賞の制定や、評価部門を持つ専門誌の創刊など。

3、メーカーの多くはゲームデザインを専門の会社に委託しているが、その報奨支払い制度を(必要経費以外は)完全出来高制にする。

  それぞれメリットだけでなくデメリットも存在する方法ですし、すべてを解決する方法でもありません。他にもっと良い方法があるかもしれません。
 少しでも「デザイナー」「メーカー」「問屋」「ショップ」「ユーザー」それぞれの利害が一致するようにしていくことが「面白いゲーム」がデザインされていく土壌を作ることにつながります。残念ながら現在はそれらがすべて一致しているとはいいがたい状況にあると思います。
 しかしTCGはホビーとしてもコミュニケーションツールとしても、魅力にあふれたすばらしいジャンルです。これからもTCGを発展させる方法を考えて行きましょう。



 HPに関して というわけでHPに関しての意見です。HPの今後についての参考意見のひとつとして読んでください。

 まず方向性についてですが、上記の「現在のTCG業界」で挙げさせていただきました

  2、メーカー、ショップ、問屋などの関係者ではない可能な限り利害関係を廃した外部の人間のみによって構成される評価機関を設置する。
 TCGゲーム大賞の制定や、評価部門を持つ専門誌の創刊など。

の部分の役割を担うようにするのが良いのではないでしょうか。

 現実的にかなりの作業量になってしまうので実現可能かどうかはわかりませんが、各ゲームのシステムや特徴を独自に解説・評価して、それぞれに対してそのユーザー自身が評価、投票などをできると良いと思います。
 後者に関しては荒らしややらせの問題も残りますが、一方的に意見を述べるだけでは別の見解を持つ人々の反論の芽をつむことになってしまいますので自ら意見を述べる際には必要な措置だと思います。

 また、ゲームの内容を評価する際には、一定の基準があるとわかりやすいです。すぐに挙げられる点としては、ゲーム難易度、取り説のわかり易さ、奥の深さ、原作再現度、カードデザイン、イラストのクウォリティー、総合評価などです。
 ただ、評価をわかりやすくするためにはこういった基準は少ない方がいいような気もします。


 こういったプランが実現し機能した場合、ユーザーが購入する際の手引きとなるためにかなりの影響力を持つことになると思います。そうなった場合の業界からの圧力などに対抗するため、可能な限り第三者に評価を委託できると理想的です。
 例えばドイツゲーム大賞などは業界関係者以外の個人による厳しい評価が行われています。


 要点を整理すると、

・ゲームの特徴と評価が一目でわかるようにする。この場合の評価には可能な限りの公平を期す。

  これによって「業界自体の自浄作用を担うように促すことを目的とする」といったところでしょうか。
 また、ゲームデザインが委託の場合そのデザイン会社を公表するのも良いと思います。ただし権利問題などは危険なので十分調べて注意して下さい。
 また、あまり小難しい感じにして見る人が減ってしまうようですと意味がないのでさじ加減も難しいところだと思います。



店長 「せっかく良いキャラクターのカードゲーム化であっても、面白くなければ広まらない。また、発売前にゲーム内容の情報がほとんど無いため、面白いかどうかわからない」

ハリー「また、ショップ側にも面白いかどうか判断するノウハウがない、と、そういう事ですね・・・」

店長 「確かにそうだ。ファミコン通信のクロスレビューみたいなものがあれば購入の基準になるんだがなぁ」

ハリー「いや、それも難しいですよ。だいたい、誰のレビューを信用すればいいんです?」

店長 「そうだなぁ。誰の、というより、多方向の切り口でレビューすべきかな。
 有名なカードゲームデザイナー、でかいカードショップの店員、色んなカードゲームを遊んでいるプレイヤー代表、キャラクタービジネスに精通している研究者 ・・・それらの人がいくつものゲームを、それぞれの切り口でレビューして、得点を付けるんだ。
 納得のいく意見かどうかは、読者が判断することだろうし」

ハリー「なるほど。しかし・・・それって必要とされてることなんでしょうか?」

店長 「いや、俺は欲しいぞ、そういう情報。このデザイナーさんの言う通り、少なくとも製作会社がどこかは知りたい。
 なにしろ“レジェンズ”を作ったところが、“シャーマンキングカードゲーム”を作った所だって最初から知ってれば、『レジェンズに注目だ! 発売が楽しみだ』なんて死んでも言わんかったわ!!!」

ハリー「どうどう。そりゃ確かに店としてはそういう情報は欲しいですけどね。普通のお客さんは、それよりもっと別のもので『買うかどうか』を決めてるはずですよ。ようするに、『まわりの人がやるかどうか』」

店長 「ああ、そこがテレビゲームと違うところだな。一人で遊べないしなぁ」

ハリー「その観点から言えば、さっき店長さんの言ってた『キャラクタービジネスに精通している研究者』の意見は求められるかも知れませんね。このカードゲームはキャラクター人気がどのぐらいの間続いて、何歳ぐらいの人達に人気が出る、とかが事前にわかれば。・・・そんなのわかる人、いないでしょうが」

店長 「そうねぇ」

ハリー「この、『ゲームデザインに関わった人間の名前を公表』というのはぜひやってほしいですね。でも、今までダメでしたから・・・」

店長 「それよ。公表しない理由、というのが実際酷いと思う。ようするにメーカー主導で製作会社を決めるには、そっちの方が都合が良いんだよな。
 メーカーにとって、小さなプロダクションの持込み企画は、ハズレたら次からそのプロダクションの企画を買わなきゃいいだけ。で、出来が良ければ自社製作、という事にしておけば、自社のイメージアップに繋がるし、そのプロダクションを抱え込んで他社に秘密にしておけば、ノウハウの漏洩を防げるわけだ。
 で、自社企画のビックプロジェクトの場合は、関係の深い大規模プロダクション会社に依頼するんだけど、デキが悪かろうが何だろうがそれからも付き合いが続くから、その会社イメージを守るためにも、名前を出さないわけだ。わかりやすく言うと、B社が・・・」

ハリー「いかーん、それ以上はマズいですよ」

店長 「しかしアレだろ、ビックプロジェクトの人気キャラクターゲームほど、ちゃんとした実力のある人にデザインしてもらいたいのに、メーカーの付き合いでろくでもない所に作られたんじゃ、プレイヤーとしては納得できんよ!
 せめてどこが作ったか明記してほしい! 製作会社で商品を選ぶ自由を与えてくれ! もう裏切られるのはたくさんだ!!」

ハリー「報酬を出来高制にする、というのは出来るんでしょうか。版権の価値とかどうなんでしょ」

店長 「キャラ人気によって取り分が変わるって事で、最初の交渉次第だろ。可能なんじゃないか。出来高制の方が、デザイナーもよい物を作ろうと頑張るだろうね。」

ハリー「これは各メーカーさんも、試してみてもらいたいですね」


ハリー「“カードゲームの評価機関を作る”というのは、金を出すところが無いですよ。メリットがないとお金は出ませんからね。
 手っ取り早く言うと、“ゲームぎゃざ”がもっと頑張ってくれればいいんですよ。今だって、色々なカードゲームの紹介記事がありますが、すべてメーカーの広告記事となんら変わらない、『こうやって遊ぶ、面白いゲームですよ』って記事ばかりじゃないですか。悪口を書けとは言いませんが、これこれ、こういうゲーム性で、こういう年齢、こういう趣味の人にお勧めだ、というぐらいの、情報の多角性が足りないと思います」

店長 「だよなあ。それにやっぱり、色んな立場の人のクロスレビューが欲しいよな」

ハリー「昔あった“シャッフル”って雑誌は頑張ってましたよ。ゲームデザイナーのインタビュー記事が載ってたりして」

店長 「この前、ガンダムウォーを作った“ニーディーロク・ゲームズ”さんとお話したから、俺もやっとインタビュー記事を書けるけど。個人ではめったに無いチャンスだったと思うから、はたしてこれからも色々書けるかどうか・・・」

ハリー「大丈夫でしょ。実は色々考えてるくせに」

店長 「むにゅる」

ハリー「そろそろまとめますか」

店長 「このデザイナーさん、当店を評価して下さっているようで、当ホームページに評価機関の役割を期待して下さっているようだけど。
 我々もほとんどの商品は発売前に情報はつかめないし、評価は発売後にしかできないよな。それに、何と言っても我々のような小売店の視点だけで考えるのは傲慢だと思う」

ハリー「いや、だから今回の企画があったんでしょ?」

店長 「あ、そうか」

ハリー「今回の企画に賛同して、投稿して下さった方々の意見で、かなり見識が広まったじゃないですか」

店長 「うん。読んでくれた皆さんにも、そうだといいね。
 最近、当ホームページも、ヒット数が順調に伸びてきて、皆さんの期待と共に、責任も重く感じるようになってきた。メーカーに意見を聞いてもらうには、結局は“数字”だからな。もっともっと沢山の人達が当HPを応援してくれることになれば、その“数”の熱意と力で、メーカーに意見を聞いてもらえるようになるかも知れない。
 そろそろ俺一人の力では、限界が見えてきた。皆の力が本気で必要だ」

ハリー「我々だけでなく他にも、問題意識を持って日々過ごしているカードショップの方もいらっしゃるでしょう。皆さんも、地元のお店の方とお話してみてはどうでしょうか。」

店長 「よーし、カードゲームが長く遊べる、良きコミニケーションツールとして定着するようにがんばるぞう!」

ハリー「私も、店長が怠けないようにしっかり見張っておきますので、皆さん、これからもどうかご声援ください」


 と、言う訳で三部構成でお送りした、読者参加コーナー「カードの穴」第二回・“カードゲーム業界に何を求めるか”いかがでしたか?
 カードゲームは若い遊びであると共に、今までにない、非常に個性的なもの。よって製作、販売方法に、今までに無いノウハウが必要になってきます。
 当店も、より良いカードゲームの売り方、広め方を三年あまりの間、手探りで積み重ねてきました。一時期のカードショップ乱立期に比べ、現在カードショップの数は落ち着いてきていますが、それはノウハウを自分たちなりに積み重ねてきた店だけが生き延びてきた結果だと思います。(最近また増えてきているようですね)

 しかし、ある調査によりますと、小学生男子中学年〜中学生の95%がカードゲームで遊んだことがあり、74%以上が継続してカードゲームを遊んでいるにも関わらず、カードショップをメインの遊び場にしている子供たちは、何と5%程度だというのです。
 当店の周りの状況を見るに、考えられない数値です。もっともっと沢山の子供たちが、カードショップでの対戦を、楽しめるようになる筈です。
 友達同士で遊ぶだけでなく、地域も学校も年齢も、全然接点のない沢山の人と、カードゲームで仲良く楽しむことが出来る。そこがカードゲームの素晴らしい点です。
 失われた世代間のコミニケーションをも、取り戻せるようになるかもしれない。
 僕は、カードゲームに、そんな夢を持っています。
 だからこそ、これからも、前述した「カードゲームのより良い売り方、広め方」を考え続けてゆくつもりです。
 そしていずれは、何らかの方法で、そのノウハウを広めていく事も考えています。

 今回のテーマに対して、沢山の投稿をいただけた事は、本当に勉強になりました。
 お読み頂いた業界の方々にも、今回の記事がお役に立てば幸いです。
 ありがとうございました。



次回予告
 次回の読者参加コーナー「カードの穴」は、テーマがテーマだけに、物凄くアホな記事になりそう、というかなります!
 真面目な記事をお求めのかた、すいませんがあきらめて下さい。(7月25日辺りに掲載予定。)



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