トップカードゲーム戦記ボルバルザークを禁止カードに(05.05.13)


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ボルバルザークを禁止カードに・ひとつの結論


無双竜機ボルバルザーク
 7コスト(炎/自然) アーマード・ドラゴン/アース・ドラゴン 6000
■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、他のパワー6000のクリーチャーをすべて破壊する。その後、このターンの後にもう一度自分のターンを行う。そのターンの終わりに、自分はゲームに負ける。
■スピードアタッカー
■W・ブレイカー


 スプリング・チャレンジバトルが終わりました。
 結果は、誰もが予想したとおり、上位には【無双竜機ボルバルザーク(10弾)】が入り続けました。
 特に最終戦の東京大会はひどい内容で、オープン、レギュラーを合わせた上位16名のうち、14名までが【ボルバルザーク】を投入という、極端に偏った大会になりました。
 一連のスプリング・チャレンジバトルの最後戦であり、大阪大会と並ぶ最大人数の大会で出た結論ですから、考えられる限りありとあらゆるデッキと戦って、最後まで勝ち抜いたカードということでしょう。

 理屈だけでなく、実戦で証明された結果として、「【ボルバルザーク】ばかりが生き残る」という悲しむべき事実が証明されてしまったわけです。
(もちろん除去満載デッキなども勝っていますし、【ボルバルザーク】だけが問題ではないでしょう。
 ですが、今回の論旨は【ボルバルザーク】問題を例に、問題のあると判明したカードにできるだけ早く対応できる環境を求めるものであり、わかりやすく話を進めるため【ボルバルザーク】だけに話を絞ります。
 そりゃ【炎槍と水剣の裁(13弾)】とかも、ものすごい問題カードですよ、はい)

 日本中で「【ボルバルザーク】に勝つには、あーすれば良い、こうすれば良い」という研究をして、なおかつ、そうしてできたデッキに対しても勝てるように作られた現在の【ボルバルザーク】デッキ。
 ここまでくれば、もはや「勝負あり!」ということではないでしょうか。

 【無双竜機ボルバルザーク】は、やはり、強すぎた。
 デュエルマスターズという、ゲームを破壊してしまうほどに。

 個人的には、“【英霊王スターマン(12弾)】デッキ”などは、基本的に【ボルバルザーク】に5分以上のデッキなので、ここまで【ボルバルザーク】だらけだと逆説的に生き残るのではないか? と考えていましたが、【スターマン】デッキが結果を残せたのは鈴香大会での入賞(未確認情報)の1回だけらしく、やはり何試合も連続して勝ち続けなければならない大型大会では、安定性という面で不利だったようです。

 ここまで【ボルバルザーク】だらけになるのがわかっていたから、「ボルバルザークを禁止カードに!運動」を起こし、また逆に「多少なりとも【ボルバルザーク】に勝てるデッキを!」と研究を続け、ご紹介させて頂いてきたわけですが、やはりというか、何というか、結果が全てを物語っています。

 やはり、【ボルバルザーク】はとっくの昔に殿堂入り、または禁止にすべきでした。

 この、ごく当然の答えに気付いていたのは、むろん僕たちだけでなく、ある程度“カードゲーム”を知っている人なら、皆気付いていた事でしょう。
 だからこそ、「【ボルバルザーク】禁止運動」に400通ものメールが集まったわけですし、今この記事を読んでいるあなたもそうだったと思います。



 【ボルバルザーク】が強すぎることの、“何”が悪いのか?
 それは、デッキ作りの可能性を、狭めてしまう事にほかなりません。

 「新デッキを作ったぞ! 今までにない、個性的なデッキだ!」
 「【ボルバルザーク】に勝てないじゃん」

 「こんなコンボを考えたぞ! 面白そうだろ?!」
 「【ボルバルザーク】が出る前に成立しないじゃん」

 「このカードを、どうしても使いたいなぁ!」
 「【ボルバルザーク】がまわりにいなけりゃ使えるかもね」

 「自然・火で【ボルバルザーク】の入ってないデッキを作ったぞ!」
 「【ボルバルザーク】が入らない理由がないじゃん。ただ、『使ってない』という自己満足だけじゃん」

 こういう事ですよね。

 デュエルマスターズというカードゲームには、現在約1000種類の魅力的なカードがあります。
 千の可能性、千の自由。
 これらのほとんどが、たった1枚のカード、【無双竜機ボルバルザーク】によって、「使う理由の無いカード」におとしめられてしまいます。

 もったいない、の一言ですむ問題ではありません。買い集めたほとんどのカードが【ボルバルザーク】1枚で紙切れになるなど、ユーザーにとってはどんなに腹立たしい事でしょう。
 はっきり言って、もっと怒っても良いと思います。もう結論は出たのですから。

 どこに怒るべきかって?
 実は、それが難しいところなのです。

 一般的に考えれば、販売会社である(株)タカラに言うべきなのでしょう。
 しかしおそらく、殿堂カードの制定は、あっちこっちとの意見と、様々な理由、複合的な事情から決められるものでしょう。
 そりゃあ、こんだけ大きな市場を持ち、いろんな会社が関係している商品ですから、誰か(どこか)独裁者がいて、全部勝手に決める、なんて考えにくい事ですよね。

 例えばですよ、これはただ単に僕がなんとなく思っただけですが、この前、テレビアニメで切札勝舞君が、【ボルバルザーク】を使ってボスキャラを倒すシーンがあったのです。

 こういったテレビのストーリーは、放映されるずいぶんと前に作られるものですが、つまりこの前の殿堂発表時(【アクアン(4弾)】が殿堂入りした時)には、この脚本は、とっくに書かれていたのではないかと。
 この時点で【ボルバルザーク】が殿堂入りした場合、勝負君は殿堂入りカード(強すぎるカード)を使って勝った事になり、
「なんだ、殿堂カードで勝ったのか。そりゃ勝って当然だよな」
 となってしまう。これでは話がおもしろくないし、見ている側も納得しきれないのではないかと。

 そういった事情も“ありうる”わけで、複数の会社が関わっている以上、1つの変更が色々なところに影響するので、なかなか【ボルバルザーク】は殿堂・禁止にできなかったんじゃないだろうか?と、考えるわけです。

 例えば、最近は少なくなっていますが(さすが)、ちょっと前はコロコロコミックも【ボルバルザーク】をよく、紙面に登場させていました。
 デュエマスターズのシンボル、人気カードとして。
 また、10弾のTVCMは【ボルバルザーク】が主役でした。
 もしこの頃に殿堂入りの意見があったとしても、おそらくは賛成されなかったのではないでしょうか?

 しかし、さすがはちゃんと、ゲームとしてもデュエルマスターズを研究している編集部。
 「よりゲームを楽しんでもらえるデッキを紹介する」というテーマなのでしょう。ここのところ【ボルバルザーク】を使ったデッキを紹介していません。【ボルバル】が入りうるデッキであったとしても、です。(もはや古いカードだから、という理由もあると思いますが、それだけではないと思います)

 たった1枚のカードが、狂っていることがわかり切っていたとしても、殿堂・禁止の判断をすることがいかに難しいことか。
 遊戯王でも、【混沌帝龍−終焉の使者−】が禁止になるまでに、いかに多くのプレイヤーが離れて行った事か(まだ【カオスソルジャー−開闢の使者】は残っていますが)。

 いつもいつも、様々なカードゲームを研究するたびに、
「なぜデザイナーは、これに気付かなかったのか(わざとだとしたら、そのリスクリターンをどう考えているのか)」
「このカードさえなければ」
 という問題点に、疲れ果てます。
(なかには印刷ミスとかの、デザイナーの知らないところでうっかり強くなってしまった、というのもあると思いますが)

 こういった、ゲームバランスに対するフォローが比較的早く、的確に行われているのは、やはり“マジック:ザ・ギャザリング”だけでしょうか。
 “マジック”は「賞金も出る競技用カードゲーム」を打ち出しているがゆえに、ゲームバランスの保持が特に重視されるのでしょうが、そのクオリティを、他の一般玩具としてのカードゲームに求めるのは、贅沢なのでしょうか。

 上が見えているなら、できているものが他にあるなら、求めることは当然だと、僕は思うのですが。



 皆さんから頂いた、400通のお便りのうちのほとんど全てだった「ボルバルザークを殿堂・禁止カードにして欲しい!」という意見は、今回の大会もあって、正しい意見であったことが実証されたと思われます。

 すべてのお便りは、約束通り、コロコロコミック編集部様と、タカラカードゲーム事業部にお届けしました。
 お客様のご意見です。無駄にはされない事でしょう。
 そして、今回の大会結果があります。

 あとは、メーカーを信じて待つしかないようです。
(ホント言うと、早い人は約一年待っているので、もう待ちきれないでしょうけど)


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