トップカードゲーム戦記こいつぁ夢のある話じゃねえか(07.12.05)


カードキングダム・トップ
裏カードキングダム・トップ


■こいつぁ夢のある話じゃねえか
 
 木谷会長から伺ったお話で、素晴らしく“夢”を感じた話があります。
 4年ほど前の話です。
 木谷会長が海外の何かのイベントに出られたとき、ハズブロー社の役員さんと、こういった会話が成されたそうです。(僕は“ハズブロー社社長”と記憶していますが、確証はありません。とりあえず上層の方のはずです)
 
 
木谷会長 「日本で、キャラクターコンテンツを立ち上げている者です。近々新企画を立ち上げます」
 
 即座に相手は、こう聞いてきたそうです。
 
ハズブロー「そのコンテンツには、何人のキャラクターがいますか?」
 
 
 キャラクタービジネス、ホビー業界に携わる、トップレベルの人間の会話です。我々には理解し難いことに、ほとんど高速言語(笑)
 この、「何人のキャラが」という質問にも、多くの意味合いが込められていたようです。
  
木谷会長 「なぜ、『数が必要』だとお考えなのですか?」(相手は『キャラクターの数は多いほうが良い』と言外に提示していると判断)
 
ハズブロー「『カードゲームに出来るかどうか』です」
 
 ・・・さて、皆さん。この会話の真の意味がお解かりでしょうか。
 僕がこの会話の意味を理解できたのは、1週間ほど経ってからでした。
 
 ハズブロー。
 アメリカの玩具メーカー。マテル社と並び、世界規模の玩具メーカー。(現在はインフォグラム社に買収され、ブランド名として残っている)
 そこの役員であるという事はつまり、世界規模で「どういう玩具、キャラクタービジネスが動いているか」を研究しているプロ中のプロ。

 そのプロが、日本の「キャラクターコンテンツを作っています」という人物(木谷氏)に対し、「そのコンテンツは、カードゲームにする事を考えて作っていますか?」という事を、真っ先に聞いたということなのです。
 
 「世界に通用する、どこででもグッズが売れる“キャラクター”を作れる国は限られている。ハリウッド、ディズニーを擁するアメリカと、近年の評価著しい“ジャパニメーション”の日本。

 そして、日本のキャラクターで、近年世界規模のブームを起こし、グッズが大量に売れたコンテンツと言えば“ポケモン”。アニメ・ゲームと各方面にヒットしたポケモンだが、その中核の一つにはカードゲームもあった。
 そしてそれは単発のブームとして終わらず、“遊戯王”カードのブームとして続いた。
 
 世界の玩具市場は、次の『日本発のキャラクターコンテンツ』を求めている。それがカードゲームと親和性の高い物であればより注目されるだろう。以前にも数回成功しているのだから。
 あなたのコンテンツは、それを明確に意識して作られているものなのか?」
 

 これは、キャラクター・ビジネスの世界市場で戦う人達にとっては、「常識」のレベルの考え方のようです。
 ポケモンに代表されるように、テレビゲームはキャラクタービジネスの世界で巨大な「産業」になった。
 カードゲームは、ハードウェアの進歩に引きずられるものではないので、テレビゲームと同じような進歩を遂げる事は無いでしょう。
 しかし、ホビーとしては充分な力がある、と分析している人たちがいる。
 そうした分析を、キチンと次の企画に生かしているのか、という事なのかもしれません。
 
 「予想は正確ではないし、無駄が大きい」「市場の見えざる手にゆだねる」という考え方もあります。
 特に玩具業界は昔から、「出してみなければ解らない、バクチ性の高い業界」とも言われます。
 しかし、明確な「理由」と「結果」は、後からでも分析はできます。少なくとも、している人はいる。
 
 例えば、“ポケットモンスター”というブランドは、偶然、たまたまウケたもの、そして運よく続いているコンテンツ・・では、無いと思います。
 最初にヒットしてからの育て方、権益の守り方には、一貫した整合性と計画性があります。
 明らかに“ポケモン”は、「日本発のディズニー」になろうとしていると考えられます。(あるいはそれ以上の物)
 それがどういう手段を講じ、何を目指しているものなのか、ご存知の方も多いでしょう。ポケモンを研究対象としたビジネス書もいくつか出ていますし。
 
 世界市場が、「日本製カードゲームは世界市場で継続的に通用する。作れ」とのメッセージを発している、との分析は、なかなかに魅力的なテーマを僕達に与えてくれます。
 実際、世界一のトレーディング・カードメーカーは“アッパーデック”で、一説には“遊戯王”だけで年間300億円以上の売り上げ(遊戯王OCGの欧米販売はアッパーデック)を叩き出しているといいます。
 



 話を戻しましょう。もちろん、木谷会長はその時点で、そのキャラクターコンテンツをカードゲームにする事を考えていたそうです。
 いや、そもそも、「カードゲームとしても使いやすいコンテンツ」であることは「前提」だったそうです。
 この、木谷会長が4年前に立ち上げ、大きく育てようとしたキャラクターコンテンツは、“熱風海陸ブシロード”といいました。
 
 飛行体が封じられた架空の地球を舞台とし、日本の戦国時代をモチーフにした世界観で、巨大ロボットが戦いを繰り広げる(メカデザイン、“デモンベイン”のニトロプラス!!)という、激硬派なSFロマンでした。
 
 ガイナックスのスタッフによる、アニメ化まで決定しかけていたビッグプロジェクトでしたが、小説版原作者の急逝(第2回スニーカー大賞作家、吉田直氏。34才にして、2004年、肺梗塞にて没。代表作“トリニティ・ブラッド”)等、不幸が重なり、頓挫しています。

 木谷会長にとっては、心が残る「果たせなかった夢」だったそうです。
 
 
 木谷会長は、ブロッコリー退社後、新会社設立前に、原作者、吉田直氏の実家に赴いたそうです。
 そして墓前にて直氏のご両親に、「どうか、新会社の名に、直君の作品名を下さい」と申し出たそうです。
 ご両親は、快諾して下さったそうです。
 
 木谷会長は、“ブシロード”という会社を、「日本発の、カードゲームを作る為に作られた会社だ」と明言しています。 
 設立時から世界市場を睨んで(さすがに最初に出すゲームから世界に打って出る筈は無いでしょうが)、・・・いや、カードゲーム市場そのものを巨大化させようという目的を持っている人物を、今のところ僕は、木谷会長以外知りません。(だから応援しているんですが)
 木谷氏以外いない事を不幸と考えるか、一人でもそういった人がいる事を幸運と考えるか。
 僕はどちらにも考えています。
 
 木谷氏以外にも何人か、各メーカーの上層部に同じような目的を持っている方がいると、心強いですし、きっとそいう人たちもいると思います。だって、カードゲームにはとてつもない未来があるのだもの。
 
 
 PS
 いよいよ木谷会長が・・・いや、ブシロードが動くようです。
 ニコニコ動画でも告知されていますが、12月7日、トークライブ。
 ブシロードを作って初めてのトークライブで、木谷氏が夢を語ってくれるようです。
 
 そしてついに、ブシロード製カードゲームの発表。
 リセやプロジェクトレヴォリューション、サンライズクルセイドのように、複数キャラクターのゲームだという事で、そのラインナップが発表されます。一つ一つがめちゃくちゃ強烈、女性ユーザー層も取り込めるものだとか。
 

 
トークライブ出演
 榎本温子 富田麻帆 菜の花すみれ 稲村優奈 木谷高明
 
ゲスト
 佐藤ひろ美 花村怜美 中山恵里奈 ひなき藍 きのみ聖 立花あや

(以上、敬称略)
 
 →ブシロード公式
 
 ゲストの数から言っても今回のライブは、かなり気合が入っているようですね。僕もぜひ行ってみたいと思います。

【戻る】