TOPディメンションゼロ研究所第9回(2006.07.03)

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□混戦、乱戦、ディメンションゼロ・グランプリ3予選!!


いけっち店長「全国のディメンション・ゼロプレイヤーの皆さん、あるいは『どーしよーかなー。そろそろD0はじめておこーかなー』とか悩んでる皆さん、こんばんわ。
 今夜は、年間賞金総額2000万円をかけた、キング・オブ・カードゲーム・ディメンション・ゼロの全国大会、
 “グランプリ3”について、解説していきたいと思います。
 そのために、僕よりもっとD0に詳しい公式ジャッジ、練馬春日店長“シマムー”をお呼びしました」

シマムー (“ウィーン・ガチャン”と機動音)「シマムーです」

いけっち店長「さて、“マダムキラーロボ”として名高いシマムーさんですが、現在強力なデッキタイプについてどう思いますか」

シマムー 「その前に、マダムキラーロボって何ですか?」
“ビコォン”とカメラアイ点灯)

いけっち店長「いや、ご近所でも男前として有名だろ。
 お客さまとしていらした奥さまが、『ホームページで書かれてた通り、本当に男前ねぇ・・・』とため息をついていたのを俺は目撃した。(マジ話)」

シマムー 「ウソ言わないで下さい! だいたい、もし本当だとしても不倫に興味はございませんから」

いけっち店長「ちっ。残念だ。きみはアイザック・アシモフの“お気に召すまま”を読むべきだ。
 男前のアンドロイドに奥様がメロメロになるという・・・まぁいいか。
 んで、D0の解説ですが」

シマムー 「どこから話しましょうか。まずは今、どんなデッキが勝ち上がってきているか、その分析でも」

いけっち店長「ではそれを」




シマムー 「現在のD0グランプリでは、強力な勝ち組! これしか勝てない! と言えるデッキが存在せず、実に多様なデッキが活躍しているのが現状です。
 事実、各地の予選を抜けてきているデッキの多くは、確かに強力なモノばかり。
 しかも本戦は2本戦サイドありになりますから、本戦の前にはあらゆるデッキを試してみる必要があるでしょう」

いけっち店長「ちょっと待って? 強力なデッキと言えば、前回のグランプリで優勝した黒赤デッキ、“トロールバレー”が中心なのでは? 
 実際、予選を抜けているデッキの多くは“トロールバレー”みたいだし」

シマムー 「確かに“トロールバレー”は強力なデッキです。
 しかし、そもそも“トロールバレー”は、前回のグランプリで最も流行っていた“黒緑ルドルフゲート”に対して勝てるように作られたデッキ。
 実際、グランプリ2で優勝したデッキではありますが、優勝者の方も“ルドルフゲート”にばかり当たったので優勝できたとおっしゃっていますし、苦手なデッキも存在すると明言されています。
 もちろん謙遜もあるでしょうけどね。(月間ディメンションゼロ第3号の対談より)」

いけっち店長「なるほど。つまり“トロールバレー”が優勝したのは、“ルドルフゲート”だらけであった特殊な環境ならではであった、という事なのかな?」

シマムー 「誤解の無いよう申し上げますが、“トロールバレー”は相手が“ルドルフゲート”でなくても十二分に戦える大変強力なデッキです。
 しかし、弱点もあり、相性もちゃんと存在します。
 『前に優勝したデッキだから強いだろう』というレベルで使っていては、到底、本戦では通用しないでしょうね」

いけっち店長「なるほど。では、実際にトロールバレーがどんなデッキか、軽く説明していきましょう」



■メタの中心“トロールバレー”とは?


いけっち店長「ではまず、現在の中心、“トロールバレー”とは一体、どんなデッキ?」

シマムー 「名前の由来は【幽鬼の谷】(谷=バレー)で【トロール流砲撃術】を回収して何度も使うところから。
 相手のユニットを徹底的に焼き尽くす、いわゆる除去コントロールデッキです。
 最近は、同系や黒デッキへの対策として【ブロンズキッド・ドラゴン】を自ら使っているタイプも多いようで、むしろ“ドラゴンバレー”になってますけどね。
 どちらにしても、低コストのユニットを【トロール流砲撃術】のコストにすることによって、【幽鬼の谷】の効果で、墓地にあるもう1枚の【トロール流砲撃術】を回収。
 何度でも6000ダメージを飛ばすことができるわけです。」

トロール流砲撃術
ストラテジー 赤1 クイック
・[バトルスペースにあるあなたのユニットを1枚選んで廃棄する] あなたはバトルスペースのスクエアにある対象のユニットを1枚選び、6000のダメージを与える。


幽鬼の谷
ベース 黒3無2 クイック
eあなたのユニットがこのカードと同じラインにあるスクエアから墓地に置かれた時、あなたは自分の墓地にある、使用コストがそのユニットの使用コスト以下の対象のストラテジーを1枚選び、持ち主の手札に加える。



いけっち店長「よーするにアドバンテージのカタマリなんだね?」

シマムー 「そうですね。ユニットは低コストなのでプランから補充できますし、【真夜中の狩人ミュラー】で回収もできます。
 【冥界の門】でその【ミュラー】を【幽鬼の谷】ラインによみがえらせて、【トロール流砲撃術】を撃つと、なぜかストラテジーとユニットの両方回収できるんですよ。
 パワー6000を越えるユニットに対しては、ユニットを並べてからの【ノヴァ・コマンド】で対処可能ですね」

いけっち店長「ひどいなぁ」

ノヴァ・コマンド
ストラテジー 赤1 クイック
・[バトルスペースのスクエアにあるリリース状態のユニットをX枚選び、フリーズする] あなたはこのカードのコストとして選ばれたユニットのうち1枚と同じラインのバトルスペースのスクエアにある対象のユニットを1枚選び、X*4000ダメージを与える。



シマムー 「注目すべきはグランプリ2の優勝者が【シャドー・ソウル】を入れていなかった事。これはすごく正しい判断でした。
 グランプリ2では、【大巨人ゴッドファーザー(I-2)】【幻影王ルドルフ(I-2)】が使われまくっていた。これらはどちらもパワー6000、【トロール流】で仕留められる。
 それを超えるパワーのユニットは事実上、【戦虎タイガーアイ(I-2)】ぐらいしか使われておらず、それのみ【ノヴァ・コマンド】で倒せば、後は【トロール流】なり【キラー】&【ミュラー】による迎撃で止められる・・・。
 よって【シャドー・ソウル】はいらない、と、突き詰めた答えを出していたという事なんですね」

シャドー・ソウル
ストラテジー 黒1無1 バトル
eバトルスペースのスクエアにあるすべての相手のユニットに、ターン終了時まで、以下の能力を与える。『このカードがバトルに勝った時、そのバトル終了時に、このカードを持ち主の墓地に置く。』
プランゾーン効果(このカードがプランゾーンにある場合、以下のテキストが有効になる。)
バトルスペースのスクエアにある相手のユニットがバトルに勝った時、そのバトル終了時に、そのユニットを持ち主の墓地に置く。



いけっち店長「と、言う事は逆説的に、“ゴドルフ”が少なくなった現在は、汎用性の高い【シャドー・ソウル】が入るということなんですな!?」

シマムー 「グランプリ2優勝のデッキは、当然グランプリ2の環境用に作られたデッキですからね。環境が変わればレシピも変わります。
 “トロールバレー”を本当に理解して使っているならば、『【シャドー・ソウル】がなぜ抜けていたのか』を考えられるはずです」

いけっち店長「ではつまり、“トロールバレー”をちゃんと理解している人は、すなわちトロールバレーの弱点もわかっている、という事なのかな?」

シマムー 「然り」

■GP2優勝者・富田氏による、GP3予選突破デッキ
 →オフィシャル大会結果
ユニット x23
 3x 殺意の魔煙キラー
I-1
 3x ローリング・ソーンズ
I-2
 2x 夢見る人形エリザベス
I-1
 2x ライトニング・スナイパー
I-1
 2x ウンバ・ウンバ
I-2
 2x ブロンズキッド・ドラゴン
I-3
 3x スパイク・ガールズ
I-1
 3x 真夜中の狩人ミュラー
I-1
 2x 愛撫の魔煙フェザー
I-2
 1x 魔少年ダミアン
I-1
ベース x3
 3x 幽鬼の谷
I-2
ストラテジー x14
 3x トロール流砲撃術
I-1
 3x ノヴァ・コマンド
I-2
 2x シャドー・ソウル
I-2
 3x 失恋の痛み
I-1
 3x 冥界の門
I-1



■トロールバレーの弱点とは!?

いけっち店長「で、“トロールバレー”の弱点とは簡単に言って?」

シマムー 「簡単に、って。簡単には説明しにくいんですよ。
 ・・・正直、盤面を見せて、実際のプレイをしながらでないと、“トロールバレー”の追い込み方など説明できないのですが」

いけっち店長「そこを何とか。ここまで読んでくださっているの皆さんのためにも」

シマムー 「そうですね・・・トロールバレー対策の50%に過ぎない解説であれば、何とかやってみましょう」


○その1・ベースを割れ!

いけっち店長「・・・そのまんまだね」

シマムー 「しかし、実際そうなんです。【幽鬼の谷】さえ破壊してしまえば、2対1交換を強制しやすくなりますから」

いけっち店長「何それ?」

シマムー 「つまり、こちらのユニット1体を破壊するのに、相手が何枚のカードを使うか、という事です。
 細かくは、コストやら何やら様々な要素が絡んでくるのですが、ごくごく簡単に言えば【トロール流】でユニットをコストにすると、相手は2枚のカードを使って、こちらのユニット1枚を破壊する事になります。これが2体1交換。
 しかしそれが、【幽鬼の谷】で【トロール流】を回収する事で、実質、1対1交換になってるんですね。
 また、【キラー】を投げて相手を破壊し、それを【ミュラー】で回収すれば、それは0対1交換に出来ます。
 基本は、1対1交換をつづけ、【ミュラー】や【フェザー】+【幽鬼の谷】で手札を増やす。
 この増えた手札の分だけ、デッキの残り枚数に差がでますから、スマッシュするにしても、デッキアウトするにしても勝つことができるわけですね。
 この仕組みの中心である【幽鬼の谷】を破壊する事で、『特に得をしないデッキ』に落としめてしまえば、条件は5分ですから」

いけっち店長「なるほど! じゃあ【神々の雷(I-1)】や【メルトダウン(I-1)】なんかのベース破壊を入れておけばいいんだね?!」

神々の雷
ストラテジー 白1無2 クイック
・あなたはベーススペースのスクエアにある対象のベースを1枚選び、持ち主の墓地に置く。


メルトダウン
ストラテジー 緑2無2 クイック
・あなたはベーススペースのスクエアにある対象のベースを1枚選び、持ち主のエネルギーゾーンにリリース状態で置く。



シマムー 「そう考える人も多いのですが、話はそう簡単ではありません。
 ベース破壊カードを手に持っていても、【幽鬼の谷】を張る前にまず手札破壊が飛んできます。ベース破壊をタイミング良く引いて撃ち込むことは非常に難しいでしょう」

いけっち店長「なるほど・・弱点無いやん!」

シマムー 「そこで、あきらめてしまえば終わりですね。D0と言うゲームには、必ずちゃんと答えがある。そう信じてブレイクスルーを見つけ出せる者だけが勝利を手に出来ます。
 東京・池袋のカードショップ、“オーガ”さんの予選大会は、なんと80人を超える巨大トーナメントとなりましたが、その激戦を抜けて優勝したデッキには、“トロールバレー”に対する答えの“ひとつ”が仕込まれていました。
 黒のビートダウンデッキに、【神々の雷】を投入していたのです」

いけっち店長「でもそれだと、手札破壊で・・・」

シマムー 「そう。そしてそれを【愛撫の魔煙フェザー】で回収するのです」

いけっち店長「なるほど!」

愛撫の魔煙フェザー
ユニット 黒2無2 クイック
移動コスト 黒1無1
スケルトン 4000
eこのカードがスクエアから墓地に置かれた時、あなたは自分の墓地にある対象の使用コスト3以下のストラテジーを1枚選び、持ち主の手札に加える。


シマムー 「手札破壊されてしまったとしても、または序盤にプランから出てしまって更新しても、【フェザー】が引ければ回収できますし、その【フェザー】も【冥界の門】で回収できますから、何度でも使えるチャンスはあるでしょうね。
 実際“トロールバレー”に当たって、なかなか【神々の雷】が引けなくて苦戦したらしいのですが、引いて【幽鬼の谷】を破壊した途端に、戦況がガラッとひっくり返って勝つことができたらしいですよ」



○その2・サイズを確認せよ!

シマムー 「サイズによってトロールバレーを追い込む事も、有効な戦術です」

いけっち店長「そりゃそうだな」

シマムー 「ただ闇雲に大きければ良い訳ではありません。『トロールバレーの苦手なサイズ』を考えてみましょう。
 まず、トロールバレーにおける除去手段を考えてみます。

1・単体ユニット中央投下による迎撃。【キラー】&【ライトニング・スナイパー】によるダメージ4000。
2・【トロール流砲撃術】による破壊。ダメージ6000。
3・【ノヴァコマンド】による破壊。ダメージ4000・8000・12000。
4・【エリザベス】の効果を使った破壊。4コスト以下のユニットのみ。

 もちろん、複数のユニットを投げる事でいくらでもダメージは上昇しますが、基本的にアドバンテージを失いにくい除去手段はこれですね。
 最初のハードルはパワー4500です。このサイズを越えると1や3で破壊されにくくなります。
 さらに【密林の孤城】などのベースで+2000すると6500。2でも破壊されなくなりますね」

密林の孤城
ベース 緑1無2
クイック
■このカードと同じラインのスクエアにあるすべての緑のあなたのユニットのパワーを+2000する。



いけっち店長「・・・なるほど! これは良い事を聞いたぞ! つまり、4500のユニットが、例えば単色強化ベースで6500になったとしたら、【トロール流砲撃術】1枚じゃ破壊されないってわけか!」

シマムー 「そうですね。まあところが話はそこまで単純ではなくて、次は4の【エリザベス】という問題が出てきますし、ユニットを2体並べられたら【ノヴァ・コマンド】1枚で終わりです。
 とはいえ、+2000ベースの強いところは、次のユニットにも、そのまた次のユニットにも影響を及ぼし続けること。
 1枚だけなら倒されてしまったとしても、次々に6500ユニットを並べられたら、さしもの“トロールバレー”でも除去が追いつかなくなります。
 こうやって『構造的にトロールバレーに強い』というタフなデッキ構成にして、押し込んで行く戦い方が、実はトロールバレーにもっとも有効なのです」

いけっち店長「なるほどなぁ・・・相手もベース張ってるんだから、こっちもベースを張ってアドバンテージを取らないと、話にならないよなぁ」

シマムー 「さらに言えば、【エリザベス】で倒されない5コストでパワー6500以上、しかも動きやすい2コスト移動ならもっと文句なしですね。
 【カオスビースト・ブレーメン】や【苦悶の魔煙アゴニー】がよく使用されているのは、このへんの理由ですね」

いけっち店長「でも、パワーの関係ない【シャドー・ソウル】はどうなるの?」

シマムー 「そこが確かに難点です。
 しかし、逆説的に言えば相手にとっては、『ユニットを投げ付けて【シャドー・ソウル】しか迎撃手段が無い』わけですから、【幽鬼の谷】以外のラインを攻めて行けば、苦しい事になるでしょう。
 【幽鬼】以外のラインにユニットを投げても、【シャドー】を回収できないわけですからね。
 ここから先が、理屈だけでは解説できない残りの50%でして・・・」

いけっち店長「俺がプレイするときは【セキュリティサービス(I-3)】で逃げ回ってるし、【暗黒街の闇市(I-3)】で“引き分け”に持ち込んで【シャドー・ソウル】の効果を発動させない・・・なんて小手先の技もあるけど、盤面のコントロールは文書じゃ説明が難しいわなぁ」

シマムー 「要は“慣れ”ですね。上記の点を考慮に入れてデッキを作り、トロールバレーとの勝負の回数をこなすしかありません。
 ただし、ただ漫然と繰り返すのではなく、さっきの理屈を理解したうえで、自分よりむしろ、トロールバレーを使っているほうの立場になって考え、一手一手打つべきです。
 とりあえずはこんなとこですので、残りの50%は、自分で何度も対戦したり、時には自分で使ってみて、身に付けていってください。では」



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