FB徳島デュエルマスターズ研究所第53回(2004.06.15)

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□ プロジェクトX「そしてサルは放たれた!!」

(テーマソング「地上の星」歌・中島みゆき)

 デッキの影に歴史あり。今回は、例のあのデッキ、サルデターの進化について語りましょう。

 そもそも9弾発売直後、【猿神兵アッシュ】の絵のあほらしさに、店長(オレ)がメロメロになったのがきっかけ。
「ロ、ロケットパンチ8門装備! 男らしすぎる! 最強のロケットパンチですよ徳光サン!」

 で、見ると「こいつがいると、あんたのアーマロイドが死ぬたんびに相手マナが破壊されるよん」と書いてます。
「はて、アーマロイド? ・・・1弾以外あんまりいないよなぁ・・」
 さっそくいつものように、当店DMシングルコーナーを見渡します。
(当店シングルは、弾毎にすべてのカードが壁一面に張られていて、一目で見渡せるのです)
 いくつかアーマロイドが見つかりました。が、正直強力な実戦レベルカードはありません。
「【銃神兵ディオライオス(1弾)】は自爆できて【アッシュ】とコンボだ。こっちの1枚に対し、相手に2枚の損害を強いることができる。
 ・・・だが、『勝てる』コンボはそのくらいか。
 つまり、【アッシュ】と【ディオライオス】の4枚4枚コンボが安定して回るようなデッキ構築が必要だな」


 デッキ構築において私が一番に考えるのは、テーマ。
 今回は「【アッシュ】を生かしてアドバンテージをかせぐ」でしたが、これを実現するには第2のテーマ「ドロー加速によるデッキ稼動の安定」を達成せねばなりません。

 【アッシュ】と【アーマロイド】を使う以上、基本色は炎。
 この時点で、現在最高のドローアドバンテージカード【アクアン(4弾)】は使えません。
 ここで【アクアハルカス(1弾)】や【エナジーライト(6弾)】を使う選択肢もありましたが、私はよりコンボ性を追求することにし、闇との組み合わせを選びました。

 【アッシュ】の効果を使うためには、アーマロイドが死んでくれなければなりません。
 しかし、【アッシュ】が出ている状態で、他のアーマロイドを相手が殺してくれるのを期待するのはナンセンスです。
 よって自爆させることにしたのですが、闇のカードには自分のクリーチャーを自爆させる事によってアドバンテージを得るカードが、いくつもあります。
 たった5マナでパワー8000が出現する【ギガベロス(1弾)】や、自軍も巻き込む【悪魔神バロム(4弾)】。
 しかし、このデッキはコンボデッキ。コンボパーツが揃わなければ意味がありません。そこでドローを稼げる【邪魂転生(6弾)】を採用しました。


 さて、【邪魂転生】を使うと決まった時点で、もうひとつデッキの方向性が決まりました。
 それは、できるだけクリーチャーを軽いコストでまとめる事、そしてできれば、死ぬことによって効果がある事です。
 【邪魂転生】はたった3マナの軽呪文。理想としては、1マナクリーチャー、2マナクリーチャーと出して、3ターン目に4ドローとしてコンボカードを捜すのに使いたいところです。

 まず、【カミカゼ】が選ばれました。なんといってもアーマロイドです。たったの2マナですし、上手くいけばタダで出てきます。
 むろん【アッシュ】とコンボですが、たとえ【アッシュ】がいなくても【邪魂】するのに全く惜しくありません。

 次に【飛行男(7弾)】。
 これもコストが軽く、しかも死ねば効果発動。

 そして【ブラッディ・イヤリング(1弾)】がピックアップされました。
 防御の弱いこのデッキにおいても、ブロッカーは少しばかり入れておきたい所。あるのと無いのとでは、明らかに戦術の自由度が変わります。




 そして作ってみた初期型サルデターを回してみたところ・・・・むずかしいのなんの。
 しかもこの難しさというのが、DMをやり狂っている我々でさえ、ほぼ未体験の難しさだったのです。
 ヘルスラッシュデッキは手順を覚えるまでがややこしい。
 マッハつるりんは1ターンごとの計算が奥深い。
 ガチャックスは、試合の流れを組み立てるのにセンスがいる。
 が、このサルデターの難しさはなんなのでしょう?!

 使ってみた誰もが、このデッキを「弱い」とは言いませんでした。
「【アクアン】関係にも勝てるんじゃないか?」「いや、そこまではいかんだろ」「しかし普通のデッキなら、回りが良くても勝てないが・・・」「こいつには可能性がある」「プレイング次第なのか」「それとも運任せなのか?」
 そして我々は、半月間の苦悩の末、実験に踏み切ったのです。

「とりあえず構築済みデッキとして通販で売ろう」

「本気ですか。うちのデッキは必ず一定の戦果を出した、強さを保障できるものばかりのはず(初心者用低価格デッキのぞく)。
 いまだ完成しているとは言いがたいサルデターを売るとは、野生のサルを世に放つような物!!!」

「うむ。その通りだ。我々は常に最善の物を売ろうと努力してきた・・・
 が、サルデターは、我々だけの手に負えるモノではない! まさに荒々しい、サルそのものよ。
 だが広い世界には、このサルデターを使いこなすことのできる、猿回しの中の猿回し、“キングオブ猿回し”がいるかもしれん!!」

「なるほど・・・つまり、特例として、未完成ですよ、と断った上で販売し、お客様にご協力を求めるワケですな・・・!!」

「そうだ。そのために、あえて私はサルを放とう!!!」



 ■デッキ名:サルデター(4月バージョン)
クリーチャー
 4x 双神兵カミカゼ(S・トリガー)
4弾
アーマロイド
 4x ブラッディ・イヤリング
1弾
ブレインジャッカー
 3x 飛行男
7弾
へドリアン
 4x 鳥神兵クウザ
9弾
アーマロイド
 2x 突神兵ドガーン
2弾
アーマロイド
 4x 銃神兵ディオライオス
1弾
アーマロイド
 4x 猿神兵アッシュ
9弾
アーマロイド
 1x 憤怒の猛将ダイダロス
6弾
デーモン・コマンド
呪文
 4x 邪魂転生(S・トリガー)
6弾
自爆&ドロー
 2x フル・コマンド
9弾
自爆&除去
 1x クエイク・ゲート
2弾
自爆&除去
 2x ゾンビ・カーニバル(S・トリガー)
9弾
最後のトドメ用
 4x バースト・ショット(S・トリガー)
2弾
自爆&除去
 1x デーモン・ハンド(S・トリガー)
1弾
基本除去
(注・6月現在のバージョンは、3分の1ほど変更されています)


猿神兵アッシュ(9弾)
4コスト アーマロイド 3000
■このクリーチャーがバトルゾーンにある間、自分のアーマロイドがバトルゾーンから自分の墓地に置かれたとき、相手は自分自身のマナゾーンからカードを1枚選び、持ち主の墓地に置く。



銃神兵ディオライオス(1弾)
4コスト アーマロイド 4000
■このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、各プレイヤーはバトルゾーンにある自分のクリーチャーを1体ずつ選び、それぞれの墓地に置く。



邪魂転生(6弾)
3コスト 呪文
■S・トリガー
■バトルゾーンにある自分のクリーチャーを好きな数選び、自分の墓地に置く。その後、そのクリーチャー1体につき2枚カードを引く。



憤怒の猛将ダイダロス(6弾)
4コスト デーモン・コマンド 11000
■バトルゾーンにある、自分の他の クリーチャー1体を自分の墓地に 置かなければ、このクリーチャーは 攻撃することができない。
■W・ブレイカー



クエイク・ゲート(2弾)
4コスト 呪文
■このターン、バトルゾーンにある自分のクリーチャーすべてのパワーは+1000され、タップされていないクリーチャーを攻撃できる。



ゾンビ・カーニバル(9弾)
5コスト 呪文
■S・トリガー
■種族を1つ選ぶ。自分の墓地から、その種族のクリーチャーを3体まで選び、自分の手札に加える。




 そしてついに、サルは野に放たれた!(サルデター実験体・発売)
 続々と申し込まれる通販注文。
「使いにくい上に、完成品ではないと言ってるのに、この注文数・・・世にチャレンジャーは多いものだな・・・」
「ええ、自分たちでデッキを育てようという有志が、こんなにも集めるとは・・」

『サルデターデッキお買い上げのお客様は、使用した感想をメールにてお送り下さい。相互の意見応酬で、より正しいサルデターを完成させましょう!』
との呼びかけに、お買い上げの半数ほどの方が答えてくれる。

「速攻に弱すぎるのでは?」
 対速攻用にブロッカー&S・トリガーを増量。

「サルを引かないときはどうしたいいかわからない!」
 デッキ解説書に『引かない時用プレイング』を追加。

「コロコロパックの【凶星王ダークヒドラ】見ました?! こいつは入りますよ!!」
 手に入り次第、即投入&テストプレイ!
「重くてますます速攻に弱くなった!!」
 【ダークヒドラ】減量。

「コロコロ付録の【ドルマークス】が使えます。序盤にマナゾーンに置いた【ディオライオス】を墓地へ送って【ダークヒドラ】で回収することもできます」
 投入。

「【ダイダロス】いらないのでは?」
「やっぱいるのでは?」
 入れたり出したり。

 現在なお様々な修正を繰り返しつつ、勝ったり負けたりのサルデター。
 わかったことは、
「運の要素が強いが、明らかにプレイングによる比重も大きい。使えない人と使える人の勝率は大きく違う」

「手札破壊などの呪文を増やし、青でドローする安定型もありうるが、それならば【ヘル・スラッシュ(6弾)】系デッキにすれば良いのであって、サルデターでは無い」

「新機軸のデッキであるが故、しっくりくるカードが少ない。つまりデッキパーツとなりうるカードに選択の余地がない。
 が、逆に今後新弾のカードによっては大きく進化する可能性がある。
 たとえば【邪魂転生】のようなカードが増えたり、1〜3マナの闇・炎クリーチャー(アーマロイドやヘドリアンが望ましい。できればブロッカー)が登場すれば、導入を検討するべきだろう」
 という現在での限界点と、幾つかのプレイング理論。




 さて、ここからは、少し古い情報なのですが、サルデターお買い上げのお客様とのメールのやりとりを御覧いただきましょう。他のお客様とも、このようにご相談していました。


 こんにちは。
 ついこの間、そちらで「サルデター」を購入させていただいたSです。

 本日、デッキが届いたので、早速同時に購入した「逆襲のだべべ村」(こちらは弟のです)と対戦をしました。 すると・・・・・・ 4戦中1勝3敗。
 まさに惨敗です。まさかこれほどまでに扱いにくいデッキだったとは・・・・・。

 というか、むこうが【神魂の守護者シュノーク・ラー(5弾)】を出した時点でもう負けです。その瞬間、ウチのサルはバナナを失ったがごとくやる気がなくなります。
 しかも3マナ、3000っていうのは「サルデター」にとって脅威でしょう。
 軽いからマナ破壊は追いつかないわ、【バースト・ショット】じゃ焼けないわ・・・・・。しかも【幻想妖精チャミリア(6弾)】でサーチングする始末。

 まあ、【アーク・バイン(6弾)】とかの毎ターンロック系のカードに出会ったが最後、こっちの場がみるみるうちに消えうせて、そのまんま勝負をつけられます。
(店長注釈・うーん、古いデッキとはいえ、だべべ村デッキはやっぱ良くできてるなぁ・・我ながら。しかし、買った初日に使いこなしている弟君もすごい)

 と、この辺で質問に入らせていただきます。
 はじめ、いつもどのカードをマナにすべきか迷うんです。クリーチャーを消すか、除去を消すか・・・・・・。
 「こうすべきだ!!!」っていう案があれば教えてください。



神魂の守護者シュノーク・ラー
3コスト ガーディアン 3000
■ブロッカー
■このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
■このクリーチャーがバトルゾーンにある間、相手によって自分のマナゾーンのカードが自分の墓地に置かれるとき、そのカードを自分のマナゾーンに戻してもよい。

 

 むぅ、よりによってうちのだべべ≠ニの対戦とは! はっきり言って、そりゃまずいよ。相性悪すぎ。
 【シューノーク・ラー】の入ってるデッキなんか、なかなか無いはずだもんな。
 すまないが、もっと色々なデッキと対戦してみてくれ。
 他のサル使い(サルデタープレイヤーをこう呼ぶ)で、結構大きな大会で3位になった人もいることだし、頑張ればそれなりの成績を出せるはずだ! ・・・間違っても最強のデッキにはならないが。

 質問の答えだが、最初にマナに埋めるカードだが、ズバリ臨機応変だ!!
 とりあえず最初のころは、できるだけ軽いクリーチャーを場に出して【邪魂転生】を使うことを考えよう。
 使いにくいなら、【ブラッディ・イヤリング】を【ボーン・スライム(2弾)】にして、徹底的に『デッキを回す』ことの練習をしてみよう。


 まいどまいどこんにちは。Sです。
 今日は、弟のデッキである「ドラゴン+ガーディアン」と熱いバトルを繰り広げま した。・・・・聞いてください。5戦中1勝4敗です。またまた惨敗です。
 ・・・・・なぜ???

 こっちは序盤からサルが出て、アーマロイドが多かったり、ものごっつえぇ感じだったんですよ。
 でも、あいつが・・・・・・(怒)
 ソル・ガーラに【無限掌】+【フルコマンド】ってやったり、こっちのマナ破壊が始まる前に【超竜バジュラ(8弾)】でマナ破壊されたり・・・・・(涙)

 むこうの【シュノーク・ラー】やら【時空の守護者ジル・ワーカ(9弾)】なりをつぶす手段として、【クリティカル・ブレード(2弾)】を投入したんですが・・・・・。
 もしかしてこの判断はミスですか?

 〜中略〜

 さて、近況報告はこの辺にして、質問に切り替えたいと思います。
 ・・・・ズバリ!
「序盤にサルが手もとにいないときはどうすれば良いんですか?」
 はい。大問題です。

ケース1・・・・・・サルを引けなかった場合サルを引けるまで粘るんですか? それとも他のみんなで戦うんですか?

ケース2・・・・・・ケース1で他のみんなで戦う場合&サルが殺された場合、一体どんな戦い方をすべきなんですか?

 以上2点が、弟に負け越している要因だと思われます。返信待ってます。では。
 


 「キーカードを引かないときの闘い方」ですが、これは相手デッキによって変えてください。
 具体的に言いますと、あなたの弟さんのようなデッキと戦う場合は、できるだけ軽いクリーチャーを並べましょう。
 こうすれば、【クエイク・ゲート】を引ければ相手を壊滅できますし、【アッシュ】を引ければ問題なし。
 3〜4ターン目ならば、【邪魂転生】をドローしてくれば、一気にドローして立て直す事も可能でしょう。

 ですが、これはあくまで一例。
 他の手札と、相手が出すカードによっては微妙に変化させる必要があります。
 だからこそ、このデッキは難しいのです。

 また、【アッシュ】を引かないときにどう戦うか、とのことですが、これは普通にタップしているクリーチャーを殺したり、並べたり、自分が有利なら【バースト・ショット】を撃ったり、要するに普通にDMやってください。


 また、弟さんのような大型クリーチャー召喚タイプには、手に入りましたら【ダーク・ヒドラ】タイプにしてみてください。
 【ダーク・ヒドラ】タイプはちょっと速攻には厳しいですが、大型には無限【ディオライオス】でヒドイ目にあわせることが可能です。
(そのタイプなら【クリティカル・ブレード】なぞの単発除去は必要ありません)

 では、頑張ってください。


 どーもこんにちは。Sです。
 ついに・・・ついに・・・サルの使い方がわかりました!
 なんと、今日も弟とデュエルをしていたのですが(来週から学校テスト始まるのに・・・・・)、な・・・なんと!
 5戦4勝1敗
 もうまさに無敵です! サル強い!

 まず、向こうの「ガーディアン+ドラゴン」とやったんですね。まあ、基本的にあいつのカードはマナがでかい(そのくせブースト入ってない)ので、「さるでたー!」って叫べば問題なかったです。

 まあ、【バジュラ】出されたときは焦りましたね。【コッコ・ルピア(6弾)】出てんのすっかり忘れてたんですよ。
 まあ、「Sトリガー【ゾンビ・カーニバル】+【ディオライオス】」の華麗なコンボで勝 ちましたけど。(笑)

 【守護聖天ラルバ・ギア(2弾)】とかされても【クウザ】+【クエイク・ゲート】で相打ちにできます し。

 さぁ、こわいのは次。そう、あの「逆襲のだべべ村」です。
 まぁ、使い方をわかってきた俺に負ける要素は無かったんですけどね。(笑)
 もちろん勝ちましたよ。

 と、だいぶ使い方がわかってまいりました。
 そこで!
 もっと勝てるようにすべく、デッキを改良しようかと考えております!
 さしあたって、「このカードは絶対入れるべきだ!」とか「デッキから抜くならこのカードだな」など、デッキ構築に関してのアドバイス等がありましたら、教えてください。

 それから、【ダーク・ヒドラ】の入ったパックって、あのコロコロのヤツですよね?  あれっていつ発売なんですか? もしかしてもう出てるんですか?
 



 以降もメールは続いてゆくのですが、このようにして、
「ここが弱い」
「ではこういうカードを入れたり、こういうプレイングを」
とアドバイスさせて頂いているうちに、こちらの理論も深まっていったのでした。

 また逆に、お買い上げのお客様から
「発見! このカードを投入するとよいですよ」
「この枚数をこう修正してこうプレイすれば・・」
とのご報告を受け、取り込んでいった事もありました。
(大会という実戦の場で試していただいた『キングオブ猿回し』さん、ありがとうございます)
 
 聖拳編(10弾)発売とともにサルデターもまだまだ進化していくと思いますが、これからも続けてお客様との相互連携で作り上げてゆく、そんな商品にしていきたいと考えています。
 お買い上げの方々、今後ともご協力ください。

 また、他の構築済みデッキをお買い上げのお客さまも、「デッキをもっと強化したいな」と思いましたら、こちらまでメールを送りください。
 出来る限り、アドバイスさせて頂きます。



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