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FCTCGは正しい「キャラクターカードゲーム」
当店でも思った以上に売れているFCTCGですが、全国的にもいい感じで売れ続けているようです。
なんと発売して半月で黒字達成との事。実はこれが本当に珍しいことで、TCGは赤字がほとんどなのです。
ですので、商業的には成功したカードゲームと言えるでしょう。
さて、では肝心のゲームとしてはどうでしょうか?
結論から言うと、かなりまともに遊べる部類です。
と、いうのもデュエルマスターズとMTGを足したようなシステムなため、一部のカードの強弱バランスを除けば(実際、現在はお世辞にもバランスがとれているとはいえませんが)、システム的には当然のように間違いのない、おもしろいものなのです。
このシステムにまったくオリジナリティのない点において、否定的な意見をお持ちの方も多いでしょうが、それは「ゲームにオリジナリティが必要か否か」という論点であって、「FCTCGがよい商品であるかどうか」という論点からは違ってきます。
確かにオリジナリティのある、かつ、おもしろいTCGを作るデザイナーを、私は「デザイナーとしては」大きく評価します(中村名人の『神の記述』とか)。
が、果たして今のTCGに求められているのはオリジナリティでしょうか?
遊戯王やデュエルマスターズの成功により、メーカーはカードゲームを「売り上げを見込める商材」として考えられているのでしょう。当然、多くのメーカーがカードゲームを手がけています。
こうも種類が多いと、ユーザーは大変です。
TVゲームもカードゲームも、買って遊んでみないと実際に面白いのかどうかわからないという点は同じですが、TVゲームならば、雑誌の情報やインターネットなどでの批評を見れば、ある程度の予想はできます。
ここでカードゲームの場合、雑誌の情報で本当に面白いゲームかどうか判断できるでしょうか…?
カードゲームでメシを食っている我々のような者や、デザイナーならある程度は予測できますが、ふつーに考えて一般的には無理でしょう。
そして実際に購入した後も、ルールを理解するまでに相当の時間がかかります。
これもTVゲームの比ではありません。オリジナリティの高いTCGほど、ここはわかり難いところでしょう。
そして、結果として、おもしろくないカードゲームであったり、ルールやカードバランスに致命的な欠陥があった場合は…?
ものすごい時間とお金の無駄です。
我々もお仕事でドラゴンドライブやレジェンズの研究をしましたが、自分でお金を出して買ったユーザーだとしたら、バンダイに怒鳴り込んでいたかもしれませんね(実際に似たような事をしましたが)
さて、そこでFCTCGです。ルールはまるっきりデュエルマスターズとMTGを混ぜた物。
MTGを遊んだことのある人なら「どのカードを土地にしてもいいんだよ」とさえ聞けば、すぐ遊べます。
インスタント能力の応酬もすべて、「MTGのスタックルール」です。
オリジナリティを放棄することで、FCTCGは「すぐ遊べる」「もともとおもしろいルールである以上、最低限のゲーム性は確保している」ということになっているのです。
『とりあえず遊んでもらえること』
これが今のTCGに求められていること重要なファクターです。
思えば、遊戯王があれだけ一般的に広まったのも、ルールブックがなくてもハウスルールで、とりあえず遊べるほど、単純なものだったから、ではないでしょうか。
そういった意味でも、FCTCGのオリジナリティのまったくないゲームデザインは、商業的には正しいといえるのではないでしょうか。
もちろん、これからのTCGは全部MTGにすれば良いといっているのではありません。
TCGが長く続いて行くものであれば、どんどん変化、進化していくべきでしょう。実験も必要です。
ですが、「F&Cのキャラクターを使ったカードゲーム」を買う人の大多数が求めているのは、『革新的で、かつ緻密なゲーム性』などではありません。
好きなキャラクターを並べることができ、手軽に遊ぶことができて、そして話の合う同じ萌え趣味の人同士のコミュニケーションツールとして使うことができれば良いのです。
むしろ必要以上の競技性は邪魔に思う人も多い事でしょう。
(バランスは絶対に必要です。なぜなら、誰しも自分の好きなキャラを活躍させたいでしょうから、極端に強い弱いがあってはキャラクターゲームとしてもつまらないものになってしまうからです)
ですから、システムデザインの点ではFCTCGはこれで良いのです。
同じF&Cファンの人に
「昔MTGやってた? だったらカンタンだよ」
と薦めることができる手軽なシステム、これこそが正しい選択肢だったのです。
繰り返しますが、カードゲーム界全体のためには、「オリジナリティが高く、おもしろいゲーム」が求められているのは当然のことです。
ですが、そういうゲームを求める人ばかりではないだろう、という事なのです。
TVゲームも、ひとつ何かが爆発的に流行すると、同じようなゲームが雨後のタケノコのように乱立します。
ですが、ユーザーはそれらを楽しむワケですから、「まったくのオリジナル」でなくとも需要はあるのです。
(そもそもあの『ドラゴンクエスト』も、『ウルティマ』を日本風にナイスアレンジしたものですし)
さて、このように「カンタンに遊んでもらえる」「案外普通におもしろい」ということで、当店としてはFCTCGをまずは支持することにしました。
実際、"リーフファイト"や"アクエリアンエイジ"などの萌え系ゲームファンの方に久しぶりに(本当に久しぶりに!)オススメできるゲームであります。
変にオリジナリティを出そうとして、ゲームにすらなっていないTCGが多い昨今、ユーザーの方々も手を出しにくいことと思いますが、このFCTCGはその点については大丈夫です。
また、いくつかの「強すぎ!」と思われるカードについては、ユーザーの意見次第ですぐに修正して行く、とのデザイナーさんからコメントをいただいております。
みなさんもゲームバランスについてご意見がありましたら、当店へご連絡ください。
ただし、建設的な意見であり、かつ明らかに問題だと判断した物のみにして下さいね。
基本的に全部に返事をすることはでき無いと思いますが、重要と判断できる意見は、この研究所で取り上げるか、ゲームデザイナーにお話いたします。
では、ゲームデザイナーさんとお話したこと、お聞きしたことをいくつか書いておきましょう。
第1弾を作ったデザイナーさんからバトンタッチして、現在は2代目さんが制作しています。
どちらの方ともお話しましたし、今もすぐ連絡できるのでサポートについては安心です。
初代制作者さんは、
「第1弾は基本システムだけ。料理で言うとスパイスは2弾以降ですよ」
と言ってくださいました。
よって「FCTCGならでは」のおもしろルールが出てくるのはこれからでしょう。
次に、2代目さんが個人的に「強すぎるのではないか?」と考えているカードもいくつかお聞きしました。
パートナーカード【P009天野織江】とイベントカード【E064データロード】、【E036初めてのボート】です。
特に、【データセーブ】【データロード】を使ったカウンターデッキが強力なのは、キャラクターゲームとしてはイカンだろう、との事。まったく同感です。
また、パートナーカード【天野織江】はブッチギリで強力なパートナーカード。
パートナーカードは、ゲームスタート時の手札枚数、ライフポイントをそれぞれ「手札5枚:ライフ15」を基本数値と設定し、それに特殊能力の強さによって手札上限と初期ライフを増減させ、バランス調整をしています。
(強力な効果を持つパートナーカードならば、手札上限枚数か初期ライフのどちらか、あるいは両方が低いが、そこまで強力な効果を持たないならば手札上限や初期ライフが高くなるし、マイナス効果を持つならば代わりに手札やライフが多くなる、という事)
例えば【羽瀬川朱美】は手札やライフが多く、かわりにマイナス能力がついているのです。
ですが、それに対し【天野織江】は、手札&ライフともに多いながらも、最強といって良いほどに強力な特殊効果を持っています。
もはやワケがわかりません。
ユーザーの意見や大会の結果によってはエラッタを出すつもりらしいですが、「どうせエラッタが出るだろうし」ってことで、当店では今のところ【天野織江】は使用禁止となっています。
こういったバランス修正はしていけるものですので(そりゃ最初から完全なら言うこと無いですが、現実にはそれはムリでしょうし)、研究→修正→研究→修正を繰り返し、長く遊んでいけるものにしていきましょう。
みなさんからのご意見をお待ちしております。
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