カードキングダム

読者お便りコーナー　いけっち店長の“おやじロック”

■第３回■それが人を雇うという事

　今回のお便りも、先方様の了承を得て記事にしております。
　『自分の失敗が、他の人のためになるならば』という、漢らしいお言葉を頂きました。

　いきなりこんなメールを送ってもうしわけありません。
　私は○○県に住んでいる２１歳の大学生です。しかし、単位もとれずに留年がきまりました。
　いままで自分の将来やりたいことも考えずにずるずると生活してきました。
　留年したときに将来のことを真剣に考えて、今の生活のままではいけないと思いました。

　以前ホームページで公開されてる日記にアルバイト募集がかかれていたのをみて、ここなら仕事があるかもしれないと思いメールを送りました。

　私はカードゲームが好きでガンダムウォーを8年ぐらいやっております。
　他のカードゲームはまわりにやっている人がいなかったからやりませんでしたが、どんなカードゲームも好きになれると思います。
　私はアルバイトなどはまったくしたことありませんがカードにかける情熱はあります。
　藁にすがる思いでこんなメール送りました。
　
　お願いします。カードショップでアルバイトでも何でも働かせてください。 　
　

　さて。おせっかいなのはわかっているが、僕はこのお便りを見て、彼の先行きが不安になった。
　むろん、雇うつもりはないし、何か返事をしたからと言って、僕に得があるわけでもないんだが、ねぇ・・・社会で働いている人ならわかるよね。これじゃあこの人、この先ずっと、就職活動失敗するよね・・・。
　
　だもんで、彼の身になる話をしようかとも思ったんだけど、それだといきなり逆恨みする人もいるから・・、とりあえず、こう返した。
　

　池田です。
　
　せっかくのお話ですが、○○県に今のところカードキングダムはありません。
　また、経営者として思うのですが、あなたには、大切なものが根本的に抜けていると思います。
　
　書き始めると説教になりますが、それでよろしければお送りします。
　
　説教など聞きたくない、とおっしゃるならここまでです。
　それでは、失礼いたします。

　さて、実は今まで、「説教でいいなら送るけど？」と聞くと、１００パーセント、 「お願いします」という返事が返ってくる。
　みんなそんなに説教されたいのか（笑）
　今回もそうだった。そんでお返事を書かせて頂いた。

　では、説教を（笑）
　
　あなたが書いている事は、自分の希望ばかりです。
　
　世の中は、自分を助けてくれるものではありません。
　世の中に貢献できる人間だからこそ、生きていく事を許されているのです。
　
　あなたを雇う事で、こちらにどのようなメリットがあるのか？
　わが社にとって、どんな仕事をする、どういったパーツとなる人材なのか？
　
　それがまったく見えてきません。
　
　企業が人を雇う、組織が人材を求めるという事は、　
「入れてあげよう」
ではなく、
「入って欲しい」
なのです。
　
「自分はたいしたことの無い人間だが、一生懸命働くから、どうか雇ってくれ」
　縁もゆかりもない人間のお願いを、なんで聞かんといかんのですか。
　
　いままで何もしてこなかった、という人間が、入社したとたんバリバリ働く、なんてファンタジーを、信じるわけには行きません。
　
　多くの人間の運命共同体である“会社”を管理する責任のある社長としては、無責任に情だけで人を雇う事など、許されないのです。
　社員全員の人生に対して責任があるのですから、役に立たない人材を、無目的に雇う事など、許されません。
　
　個人事業主なら、「俺が面倒見てやるよ」で済むかもしれませんが、会社の場合、社長といえども会社に雇われている身分ですからね。
　「必要な人材を、必要な時に、必要なところで雇う」のも、責任を持って行うべき“仕事”なのですよ。
　
　お分かりか。
　２１歳にもなって、相手の立場で考えて行動する事ができなければ、半人前と取られても仕方ありません。
　
　イメージしてみましょう。あなたが社長。
　社員全員の人生に対して、少なからず責任があり、その社員たちの活躍で、自分の会社が守られている。あなたは全員に感謝している。
　経営はそれなりに上手くいっているし、あなたの、社員に対する感謝の気持ちからすれば、もっと給料を上げて、皆に報いたいと思っているが、やはり何といってもお金は有限。無計画には上げられない。
　そのうえ、まだ人手が足りない。皆が忙しそうにしている。
　
　だから、本当なら、少しでも給料を上げたいところを、更なる事業拡大と、皆の負担軽減のために、社員を増やす事にした。
　
　で、あるならば、できるだけ会社の役に立つ、すぐにでも仕事のできる人材が欲しい。
　
　そんな時。
　特にアピールできるところもない、特殊な技術があるわけでもない。
　そんな人を雇えますか？
　
　
　どうですか。これが、相手の立場に立って考えるという事です。
　
　誤解の無いよう言っておきますが、これは、「あなたは無能だ」と言っているわけではありません。
　就職活動をするにしても、なんにしても、「相手の立場に立って考えるべきだ」 という事なのです。
　
　遠慮がちなのは日本人の美徳ですが、それも場合によりけり。
　「自分はたいしたこと無い人間ですが、どうか雇ってください」という売り込み方では、何も生まれません。
　端的に言って、「情報が無さ過ぎ」ます。

　簡単に言えば、カードのトレードだってそう。
「僕はそれが欲しい。これをやるから交換してくれ。こっちの方が高いから、君が得だし、いいだろう？！」　
　これが一方的な押し付けなのはわかりますね？
　相手がこちらのカードを欲しがっているか、そもそも相手はカードを出すつもりがあるのか。それらを確かめてから話がスタートでしょう。

　
　今回、あなたは我々とは縁がありませんでしたが、今後あなたが就職活動なり、何らかの交渉に挑むなりした時に、今回の失敗を肥やしにして下されば、僕も偉そうに説教した甲斐があったというものです。
　頑張ってください。

　・・・と。まあ、雇いもせんくせに偉そうな事を言っちゃったけど、今後の役に立てれば幸いだと思いました。

　では第４回へ続きます。　

■一つもどる■

■ＨＰトップへ■

〒770-0813
徳島県徳島市中常三島１丁目３番地１号２Ｆ
カードキングダム　Future Bee 徳島
Tel(Fax):088-656-3823
e-mail:fb-toku@stannet.ne.jp