TOPディメンションゼロ研究所第17回(2007.01.22.)

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□グランプリ−4−レポート! なんと今回の優勝&準優勝は高校生!




 →オフィシャル・レポート


 寺田拓朗君、雨宮慎太郎君の2人です!!

 決勝戦の後、彼ら2人とじっくり話し合える機会があったので、そのときの模様をお伝えしつつ、彼ら2人のデッキの解説、グランプリ4の総括をしてまいりたいと思います。
 少年らしい、さわやかなチャンプ、準チャンプでしたよ。すげー話やすいし。


いけっち店長「しかし高校生でエライ賞金とっちまったなぁ」

寺田君  「前日の決勝進出の時点で賞金14万円確定でしたから、それだけでお母さんが慌ててました(笑)」

いけっち店長「この上100万円持って帰ったら、『あんた、東京で何やってきたの!!』とか逆に怒られたりして」

雨宮君  「ありそー!」

いけっち店長「でも、ゲームだろうとなんだろうと、これだけ多くの人たちの頂点に立つって言うのは真面目にすごい事だから、誇るべき事だと思うよ。親御さんも認めてくれるんじゃないかな。
 ・・・よーし、せっかく頂点にたどり着いたんだ。D0プレイヤーの代表として何か言っておきたい事、ある?」

雨宮君  「いやいや・・・優先権放棄!」

寺田君  「うわっ! ひで! ・・・優先権放棄(笑)」

 この2人、仲良すぎ(笑)
 実は2人は友達同士。とはいっても寺田君は大阪、雨宮君は栃木。そーんなに離れていて、なんで友達かっていうと・・・・

雨宮君  「ユースチャンピオンシップの時に、『何か友達にそっくりな奴がいるなー』と思って寺田君に声をかけました」

寺田君  「似てるからって理由がわけわかんないよね」

雨宮君  「そのあと、グランプリのたんびに会うんで、『よう』『やあ』みたいな」

 ネットでのつながりもあったんだろうけど、“ユースチャンピオンシップ”というお祭りで知り合った同士が、その後1年に渡って“ディメンション・ゼロ”というゲームでつながりを持ち続けて、そして2人揃って頂点にたどり着いた・・・これは素晴らしい事なんじゃないかなぁ、と率直に思いました。

 彼ら2人には、「血眼になって賞金を目指し、徹底的に練習しまくった!」というアスリート的なハングリーさが感じられない。
 なんだか、「D0っていうすげー楽しいゲームを本気で遊んでいたら、なんかすごいところに来ちゃった」という、良い意味で気楽なオーラが感じられます。
 だから彼らを見て、運営側や多くのプレイヤーが感じた感想は、「若いってのは素晴らしいなぁ!」という、ただその一言に集約されるものでした。
 無理に力が入っていない。純粋に楽しそうなオーラをまとっている。
 「なんだか、物心付いたころからカードゲームがあったよ」みたいな、そうした世代の“強み”というか、何か。

 前回の日本選手権で知り合った、武井君や杉原君(“毎日ディメンション・ゼロ7”参照)にも同じような「楽しさ」を感じましたね。

 もちろん、上位入賞者は中高生ばっかり、なんて事は全然無くて、社会人として立派にお勤めしつつ、趣味としてD0をたしなみ、上位についている人もいます。上位陣のユーザー層は実に千差万別。
 「お金はあるけど時間が無い」人や、「時間はあるけどお金が無い」人、地方で、なかなか練習相手に恵まれない人・・・誰もが、全てに満足のいく環境にあるわけじゃなくても、自分の持っている資産(時間・お金・仲間・場所)をフルに活用すれば、頂点にたどり着ける事を、今回のグランプリは実証したんじゃないか、と思います。



 ・・・え? そんな話はどうでもいいから、彼らのデッキを紹介しろって?
 野暮ねぇ。「こういう人たちが使って、そしてグランプリを制したデッキ」という周辺情報もあってこその、「生きた情報」でゲスよ。

 ちなみに、優勝したのは寺田君ですが、寺田君本人も言っていた通り、「雨宮君のデッキがAとB、逆だったら、デッキ相性的に勝敗は逆転していたかもしれない!」というほど、どっちのデッキが優勝してもおかしくない内容でした。
 よって「強いデッキを知りたい!」と思うなら、優勝者のデッキだけじゃなく、どっちのデッキもよ〜く研究してほしい。


 今回はまず優勝者、寺田君のデッキから。

■寺田君のAデッキ 4色プラン・グランプリ4メタバージョン
ユニット 17枚
 2x 濃霧の魔氷フォッグ
 2x 犬闘士チワワ
 1x シルバーワイズ・ドラゴン
 3x ステルス・スナイパー
 3x イビルアイ・ドライバー
 3x センチネル・センチピード
 3x 花束を捧げる乙女
ベース 2枚
 2x ドラゴンの洞窟
ストラテジー 21枚
 2x トロール流砲撃術
 3x 失恋の痛み
 3x 欲望の連鎖
 2x 神々の雷
 3x 真夜中のダンスパーティ
 2x 絶望の連鎖
 3x メガトン・パンチ
 3x 呪われた手紙
→プランデッキの解説はコチラ


 コイツは、普通の4色プランデッキじゃーありません。
 今回のメタの中心と考えられた、
「【流氷の大陸(II-1)】や【幻影王ルドルフ(I-2)】などを使って、セカンドセンチュリーの8コストユニット(【時空を歪める者シュレーゲル】や【犬闘士ケルベロス】)を中央エリアに直接出すタイプのデッキ」
とも戦えるようにチューンされた、「メタデッキ(対策デッキ)」なんですね。

流氷の大陸
 ベース タイミング:クイック
 コスト:青2無2
[無X このカードをフリーズする] ≪ノーマル≫ あなたは、自分の手札かプランゾーンにある使用コストX以下のユニットを1枚選び、このカードと同じラインのユニットのないバトルスペースのスクエアに、リリース状態で置く。


犬闘士ケルベロス
 ユニット(ハウンド) タイミング:クイック
 コスト:白1無7 移動:白1無2 パワー:8000 スマッシュ:2
このカードがバトルに勝った時、あなたはベーススペースのスクエアにある対象のベースかスマッシュゾーンにある対象のカードを1枚選び、持ち主の墓地に置いてよい。
[バトルスペースのスクエアにあるこのカード以外のリリース状態の種族「ハウンド」のあなたのユニットを1枚選び、フリーズする] ≪ノーマル≫ あなたはこのカードをこのカードと隣接する自分のユニットのないバトルスペースの対象のスクエアに、リリース状態で置く。



いけっち店長「僕も今回のメタは、『緑が【流氷の大陸】デッキに勝ち切れない以上、8コストユニット合戦を制するのではなく、8コストユニットを徹底的に排除する“重い”除去を積んで、最初から【神々の雷】も投入した3〜4色コントロールが強い』と思ってたんだけど(逆に【流氷】をメタり返した超高速緑単も存在する)・・・この4色プランデッキもやっぱり対【流氷】メタデッキ?」

寺田君  「もちろん【流氷】だけじゃなく“ゴドルフ(【大巨人ゴッドファーザー(I-2)】&【幻影王ルドルフ】デッキ)”対策でもあるんですけど、その通りです。
 怖かったのは本戦の最初の方で・・・想定してないデッキがいっぱいいたんで難しかったです」

いけっち店長「ああ、今回のグランプリほど、都市部のメタゲーム情報が地方に影響しなかった事は無いよなぁ」

 何を言ってるかって? つまりこういう事。
「このデッキは“タダの強いデッキ”じゃなくて“メタデッキ”だから、本戦の最初の方の予想していなかった(あるいは本筋からずれた)デッキが混在する中では、実力を発揮し辛かった」
という事。

 具体的に理解してもらう為に、まず、今回のメタゲームの推移の大筋を駆け足で解説してみましょう。


○セカンド発売後のメタゲーム推移

 セカンドが発売してまず、【妖魔の勇者】を擁する緑が強い事が発見されました。
 また、以前から人気のデッキタイプ“ゴドルフ”が大幅に強化されたことがわかり、その過程で【時空を歪める者シュレーゲル】の強さが認識され、セカンドセンチュリー限定構築のノウハウも吸収しながら、青黒【流氷】デッキが作られました。
 【シュレーゲル】や【ギガント・エイリアン】が強いなら・・・ということで、同じ8コストで似た効果をもつ【カオスヘッド・ドラゴン】を搭載した青赤デッキが誕生し、さらにこれらの同系デッキに対策を施した青赤白、青黒白、または青赤黒といったアレンジ版流氷デッキが作られたといったかんじでしょうか。
 もちろん、地域によってある程度前後していたりするでしょうが、大雑把な流れはだいたいこんなものだと思います。

 なんで白が入ったかと言うと・・・・
(1)とりあえず【花束】によるスマッシュ回復が長期戦で強い!
 スマッシュ回復によりゲームを長引かせれば、重いデッキである流氷デッキの勝率は基本的に増します。
 また、プランユニットが合計9枚になることで、デッキ消耗戦になった際の耐久力も上昇。

花束を捧げる乙女
 ユニット(ワルキューレ) タイミング:クイック
 コスト:白1無3 移動:白1無1 パワー:4500 スマッシュ:1
このカードがプランゾーンからスクエアに置かれた時、あなたはベーススペースのスクエアにある対象のベースを1枚か、スマッシュゾーンにある対象のカードを1枚選び、持ち主の墓地に置いてよい。
墓地効果(このカードが墓地にある場合、以下のテキストが有効になる。)
ターン終了時に、あなたはこのカードを持ち主の山札に戻してシャッフルしてよい。


(2)【流氷】デッキが増えてきた→相手の【流氷】を破壊したほうが勝つ。
 だからベースを割れるカード、【犬闘士ケルベロス】、【神々の雷】、【花束を捧げる乙女】を増やす。
 とくに【花束を捧げる乙女】は、エネルギーから白色が出なくても、プランから【流氷】で出せば効果が発動するため、相性がよい。
 (タッチ白タイプ →グランプリ3位Aデッキ →グランプリ6位Bデッキ

(3)また、メインカラー白青タイプの【流氷】デッキも結果を残しています。
 【犬闘士チワワ】や【犬闘士フェンリル】などの、いわゆる“犬”こと種族「ハウンド」が入っていると、普通の小型速攻系デッキは【全軍突撃(I-2)】や【ノヴァ・コマンド(I-2)】が使えないので「大きさ」を覆す事が出来ず、プランユニットの4500すら突破するのが難しくなります。
 ・・・おまけに、何となく出しておいた【犬闘士チワワ】をフリーズしたら、【ケルベロス】がいきなり中央にリリースで?!
 (白青タッチ赤タイプ →グランプリ7位Bデッキ

 なお、この【チワワ】+【ケルベロス】要素は、【流氷】デッキ以外の緑白や黒白などにも組み込まれていました。
 (→グランプリ6位Aデッキ


 話を戻しまして、【流氷】デッキの流行った都市部では、
「【ギガント・エイリアン】【シュレーゲル】が歩くだけで緑のパワーデッキは完全制圧される。今回のメタはサイズ勝負ではない」
という“とりあえずの”結論が出ていました。

 そこで考えられたのが“赤緑ロストウィニー”や“赤単速攻”などの速攻系デッキで【流氷】を圧倒する・・・という手段ですが、押し切れるほどデッキが回るのは5分以下の確率。
 「片方のデッキは“流氷”、もう片方をどういうデッキにするか?」というのがメタゲームの中心的な考えだったように思います。

 だから僕が予測していたのは、

(1)青赤白【流氷】+黒緑ゴドルフ
(2)青黒白【流氷】+赤緑

という2つのパターン。これが、メタゲームを知った上でデッキを持ち込むプレイヤーの大多数の選択であろう、と。
 ・・・という事は、それらに勝つつもりなら、さらに上に行く必要があるのですよ。


いけっち店長「・・・って考えてたんだよ。だから、【流氷】のような重ユニットデッキに的を絞って、【真夜中のダンスパーティ】や【絨毯爆撃】を入れたプランコントロールが勝ち上がって、ついでに同じプランコントロール同士に勝てるように“墓地除去手段”が必要になってくるかな、と」

寺田君  「同じです。だけど、プランデッキ同士の『プランユニットの中央投下合戦』対策になるカードは、【シルバーワイズ・ドラゴン】1枚だけでした」

いけっち店長「俺なんか最後の『プランユニットの投げあい』だけ何度も練習して、【陽光の魔炎コロナ(II-1)】まで使ってみたけど、さすがにそりゃ無かった(笑)」

寺田君  「上位にいたほかのプランデッキ使いの人の中には、同系対策で【ブロンズキッド・ドラゴン(I-3)】まで入れてた人がいました。同系で当たったら負けてたかも知れません」

いけっち店長「その分汎用性が高かったから、最初の混沌を抜け出せたのかもね」

(※プランユニットの中央投下合戦・プランユニットを多数積んだデッキ同士の対決が長引くと、お互いの山札がほぼプランユニットだけ数枚になり、またスマッシュを与える決め手を欠く状態になります。
 このとき、プランユニットを中央投下することで墓地に送り山札の枚数を回復させることで、半永久的に山札が尽きない状況が発生します。中央投下合戦とは、この状態のことを指しています。
 また、これを止めて勝つためには、なんとか相手の隙をみつけてスマッシュを叩き込んで山札切れを起こすか、相手のプランユニットをゲームから除外してしまうことで山札回復を不可能にする必要があります)

 彼が最初に言った「想定していないデッキがいっぱいあって・・・」と言うのはつまり、“流氷”や“ゴドルフ”にメタを張ったデッキだったから、予想外のデッキには「いつものパターン」で戦う事が出来ず、その都度その都度戦い方を変える必要があり、苦しかった、という事。

 しかし想定外のデッキに対しても的確に対処できるほどのプレイングがあり、それにより相性の悪いデッキをも捻じ伏せられたからこそ、上位に登ってこれたんでしょう。
 むしろ上位に上ってからは、メタゲームがほぼ読み通りだっただけに、楽だったんじゃないでしょうか。



いけっち店長「で、残った青と緑でどうメタに合ったデッキを作るかまでは、僕は考えてなかった。普通に考えたら“勇者ジャッカル”なんだけど、普通に強いデッキとメタデッキは違うしね。
 だから、君のこの“緑単色グッドスタッフ”はさすが優勝者!って感動したね」

■寺田君Bデッキ 緑単色グッドスタッフ
ユニット28枚
 3x バンブー・ベイビー
 3x 幻惑のフェアリー
 3x 兎娘キューティー・バニー
 1x 大巨人クレーター・メーカー
 3x 蜘蛛の巣をまとうフェアリー
 3x カオスビースト・ナインテイル
 3x 象砲手バルカン
 2x カオスビースト・ブレーメンー
 2x ヤマブシ・ドリアード
 3x 妖魔の勇者
 2x 戦虎タイガーアイ
ベース3枚
 3x 密林の孤城
ストラテジー9枚
 3x 小さくて大きな力
 3x 生命の門
 3x バードマン・ソウル



 徹底的に早く、素早く展開しつつ、十分なパワーも兼ね備えた、機動力溢れる緑単色デッキ。

 今更改めて言うまでも無いのですが・・・本当に、“呼声ユニット”は強い!!!!
 単色なのに全力で6枚投入された“呼声ユニット”のおかげで、ユニットのプレイのみならず移動も低コストで行えます。

 よく見て頂ければお解かりでしょうが・・・“真ん中”といったサイズのユニットがほとんどありません。アタッカーとサポーターに、綺麗に分かれています。
 おそらく、基本的な動きは両サイドに呼び声ユニットをおき、中央から次々と主力ユニットを送り出していく・・・という事になるでしょうが・・・いやいや、それはあくまで基本パターン。
 「攻めれるときに攻める!」というプレイングで、アグレッシブに勝利を掴んできたのだと思います。

 また、ここまで高速化したデッキなら、“流氷”などのコントロール系を押し切る事も出来ます。メタデッキではあるのですね。
 ひとつ、寺田君からのコメントを載せておきましょう。

★【タイガーアイ】について
「【ナインテイル】をエネルギーゾーンに見せておくと、相手は【ダンスパーティ】をエネルギーゾーンに置いてくれます。だから意外と除去されませんでした。
 また、最後に【生命の門】で3点スマッシュ取る必要がある場合もあるので、やっぱり重要なアタッカーだったと思います」


 さて、次回は「AB逆だったなら、優勝していたのは彼だったのでは?!」と本人たちも認める、寺田君の素晴らしきライバル、雨宮君のデッキを紹介します!


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