□2004年エターナルリーグ優勝デッキ・その1・“3色ボルバルザーク”
以前“独り言”コーナーでお伝えいたしましたが、2004年エターナルリーグにおいて優勝したデッキは2種類。
オープンクラス…“自然・火・水【無双竜機ボルバルザーク(10弾)】”
レギュラークラス…“光・闇・水・火【アクアン(4弾)】・除去傾斜型”
でした。
僕も会場で直接見ておりましたが、さすがに見ただけではデッキの内容がすべてわかる訳でもありません。
ですので、色々な情報ソースと、実際に動かしてみての「多分こうだろう」という予測での、ご報告となります。
まず今回は、オープンクラスで見ごたえのある名勝負を披露してくれた、水文明入り【無双竜機ボルバルザーク】デッキです。
◇火&自然&水デッキ「ボルバ・ブルー」サンプル |
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クリーチャー | 4x ラブ・エルフィン | 2弾
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3x シビレアシダケ | 1弾
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4x 青銅の鎧 | 1弾 |
4x アクア・ハルカス | 1弾
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2x 無頼勇騎ウインドアックス | 10弾
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3x アクア・サーファー(S・トリガー) | 5弾
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4x 無双竜機ボルバルザーク | 10弾
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2x ツインキャノン・ワイバーン | 5弾
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呪文 | 4x エナジー・ライト | 6弾
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4x 母なる大地(S・トリガー) | 10弾
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3x クリムゾン・チャージャー | 8弾
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1x サイバー・ブレイン(S・トリガー) | 1弾
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2x 灼熱波 | 3弾
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(注・使われていたカードからの推測レシピであって、このレシピで優勝していた、というのではありません)
デッキの動きですが、非常に安定しています。
特に、豊富なドローカードと、【シビレアシダケ】【青銅の鎧】などのマナ加速カードが、信じられないほどの展開力を発揮し、あっという間に【母なる大地】から【ボルバルザーク(以下ボルバル)】でゲームエンドに持ち込みます。
なんといってもドローが豊富なため引きに左右されにくく、使用できるカードの枚数も多いため、
「攻撃せず展開し、【ボルバル】を出してからいきなり終らせる」
という戦術が取れます。
この戦術の有利な点は、相手にシールドのカードを与えないため、相手の展開力を抑える事ができ、またそれによって、こちらに対する選択を幅を狭める事ができる点に尽きます。
そもそも【ボルバル】デッキに対する有効な対抗策の一つは、言うまでもなく【スケルトン・バイス(8弾)】ですが、ドロー入り“ボルバル”のようなシールドを攻撃しないデッキを相手にした場合、4ターン目までに【バイス】を手に入れるには初手手札と4ターン目までのドローで引くしかありません。
もちろん4ターン目の【アクアン(4弾)】まで考えに入れるならば、【バイス】を手に入れる可能性は相当高いと言えますが、恐ろしい事にこのデッキに対しては、【バイス】を撃つ5ターン目が永遠に来ない可能性まであるのです!
実際に、理想的な動きである
「4ターン目【ボルバル】出現」をお見せいたしましょう!
1ターン目
【ボルバル】をマナゾーンにセット。
2ターン目
水マナを置いて、2マナで【ラブ・エルフィン】召喚。
3ターン目
なにかマナを置いて、3マナで【青銅の鎧】を召喚。これで4マナに。(ここは【シビレアシダケ】でもОK)
4ターン目
マナセット、計5マナ
【ラブ・エルフィン】により2マナで【エナジー・ライト】。(残り3マナ)
2マナ使って【シビレアシダケ】。能力を使ってマナチャージ。(残り2マナ)
またまた【エルフィン】で、残った2マナで【母なる大地】。
この時点でマナが6枚、【母なる大地】で【シビレアシダケ】をマナに送るので、計マナが7枚。よってマナゾーンの【ボルバルザーク】出現! 攻撃開始!!
ネクストターン
【ボルバル】の効果でこちらのターン。
現在6マナ。【アクア・サーファー】でブロッカーを戻したり【ウインドアックス】で叩き割ったり、マナチャージすれば【ツインキャノン・ワイバーン】も出せます。
ほぼ勝ちですね。
むろんこれは、理想的な動きの一例でありますが、豊富なドローカードのおかげで、だいたいにおいてよく似た動きが毎回できます。
ここで注目していただきたいのは、途中で【エナジー・ライト】を使っている点。
別に【エナジー・ライト】のようなドローカード無しの火&自然2色【ボルバル】でも、4ターン目【ボルバル】は計算上不可能ではないのですが、やはりそうそう上手くコンボするわけはありません。
ですが、このデッキだと水を入れる事で、その4ターンKillコンボ用のパーツを集めやすくなっています。
そして、ドローカードの欠点である「コストの重さ」を【ラブ・エルフィン】がフォロー。
普通のデッキではあまり活躍できない【シビレアシダケ】も、ドローカードと組み合わせれば大活躍です。
一応、昔からの序盤からドンドン殴るタイプ、例の当店常連「風船君」が10弾発売後1日で作り上げた
“風船流ボルバル速攻”(&
研究所61・
63回)と比べると、パワー1000のクリーチャーが大幅に増えているため、突進力&攻撃力は劣ります。
ですので、「今日はどんなにドローを撃っても【ボルバル】を引けないよ〜、パワー1000じゃ相手の守りを突破できないよ」とか、「相手が速攻デッキで、殴り返しで相手クリーチャーを倒したいけどパワー1000じゃ無理だよ!」とかありますし、3色のため「自然でマナ加速したいけど火と水のカードしか引かないよ」といったもろさがあります。
ですが、ドローによる安定性と、様々なクリーチャーのマナ加速&強力なSトリガーによる「お、こんな動きが!」的なテクニカルな楽しみ&逆転性は、確実にアップしています。
このデッキには色々なテクニックが隠されていますが、ぜひ皆さんご自分で動かしてみて、発見していって下さい。
シビレアシダケ
2コスト バルーン・マッシュルーム 1000
■このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、自分の手札からカードを1枚選び、自分のマナゾーンに置いてよい。
さて、上でもちょっと書いているように、このデッキではパワー1000とかいうヘナチョコなクリーチャーが11体も入っています。「パワーアタック」とか「進化種」とか「スピードアタッカー」とか「ブロッカー」でもありません。つまり普通にやっていたのでは、こんな全体の4分の1がへナチョコとかいうデッキではとても勝てません。
裏返して言うと、
ヘナチョコどもを使ってでも早出ししたいぐらいに、【ボルバル】は強い、ということです。
【ボルバル】の強さといえば、その圧倒的な破壊力!
【ボルバル】の能力を違う言葉に置き換えるならば、場に出すと、
・シールド4枚ブレイク
・シールド2枚ブレイク&ブロッカー1体撃破
・ブロッカー2体撃破
のどれかがおきる、ということです。
・・・、この段階ですごい大活躍ですね。いくら2色かかるとはいえ、シールドを1枚しか割れない【コアクラッシュ・リザード(10弾)】と同じコストのカードとは思えません。
さらにここに、
1・もう1回マナが使える
2・1枚ドローできる
3・他のクリーチャーも、もう1回アタックできる
4・6000クリーチャーも倒してくれる
5・相手のクリーチャーに殴り返されない
と、まだまだ効果がくっついてくるのです!
特に追加ターンがやっかいで、このせいでSトリガーの【ホーリー・スパーク(1弾)】や【デーモン・ハンド(1弾)】などがあまり効果的ではなくなっています。
さすがにこんなクリーチャーは普通には相手にできないので、対策法を考えてみましょう。
1・ブロッカーでガッチリしてみよう!
殴ってくる相手にはブロッカー。これ世界の基本。
しかし、これがなかなか難しい。
なにせ【ボルバル】はパワー6000。これに対抗するパワー6000ブロッカーを用意するだけでも大変なのに、パワー6000ピッタリのブロッカー、例えば【アングラー・クラスター(3弾)】とかは、戦闘もさせてもらえず倒されてしまうのです!
そこで、パワー6000でなく、できるだけ低コストで使いやすい【ボルバル】対策ブロッカーを探してみましょう。
カース・ペンダント(6弾)
4コスト ブレインジャッカー 2000
■ブロッカー
■スレイヤー
■このクリーチャーは攻撃することができない。
パワーが足らなくても、スレイヤーなら何とかなります。
パワーが2000なので、【青銅の鎧】パンチとかなら楽々ブロックもできます。
しかし、【クリムゾン・ハンマー(1弾)】、【バースト・ショット(2弾)】、【クリムゾン・チャージャー】、簡単に焼かれるのもあまり嬉しくありませんね。
墓堀怪人アシッドフィスト(9弾)
5コスト デビルマスク 3000
■ブロッカー
■スレイヤー
■このクリーチャーは攻撃することができない。
ギガボアー(6弾)
6コスト デビルマスク 4000
■ブロッカー
■スレイヤー
■このクリーチャーは攻撃することができない。
パワーがアップで火力耐性アップ! 【ボルバル】以外のクリーチャーのパンチもほとんど止めます!
でもコストが重い! ちょっと厳しい。
電脳聖者タージマル(10弾)
3コスト(光/水) イニシエート/リキッド・ピープル 4000
■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
■このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
■火のクリーチャーとバトルする時、このクリーチャーのパワーは+4000される。
火と対戦する時は本当に頼りになります。
ちなみに【曙の守護者パラ・オーレシス(10弾)】と一緒にいると、+2000されて計6000、戦闘すらさせてもらえず見事に撃破されます。注意。
砕骨の刺客ゾルバス(6弾)
5コスト デーモン・コマンド 8000
■ブロッカー
■このクリーチャーは攻撃することができない。
■このクリーチャーはバトルに勝っても、バトルの後、持ち主の墓地に置かれる。
天空の守護者グラン・ギューレ(1弾)
6コスト ガーディアン 9000
■ブロッカー
■このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
光翼の精霊サイフォス(5弾)
7コスト エンジェル・コマンド 7000
■ブロッカー
■このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、自分のマナゾーンから呪文を1枚選び、自分の手札に戻してもよい。
■W・ブレイカー
【火炎流星弾(6弾)】には焼かれないぜシリーズ。
しかし重い!
デーモン・コマンド、ガーディアン、エンジェル・コマンドと、そこそこ種族が強いのがマシな点でしょう。
このジャンルでは【栄光の精霊アイリス(7弾)】(7コスト)なんかもわりと渋く働きます。
聖天使カイザル・バジキューラ(7弾)
5コスト イニシエート 8500
■ブロッカー
■進化
■火ステルス
■W・ブレイカー
けっきょく【ボルバル】を倒せるブロッカーの中では、こいつが一番使い勝手が良さそうです。
しかし、ブロッカーはブロッカー。【火炎流星弾】に対抗できるとはいえ、【ピーカブのドライバー(6弾)】や【ウインドアックス(10弾)】には一撃で殺されてしまいます。
ここは、違う手段でシールドを守ってみましょう。
聖天使グライス・メジキューラ(10弾)
2コスト イニシエート 5500
■進化
■自分のシールドがブレイクされる時、自分の手札を2枚捨ててもよい。そうした場合、そのシールドはブレイクされない。
こいつならばブロッカー対策に引っかかりませんし、コストも低いです。
あとは【ストームジャベリン・ワイバーン(5弾)】にだけは気をつけましょう。
ちなみに、Wブレイカーでシールドを壊されそうな時は、シールド1枚につき手札2枚、つまり計4枚使わなければ完璧には守れません。
2・火&自然の欠点をついてみよう
【ボルバル】を対抗しづらいなら、火&自然というデッキ自体の弱点を攻めてみましょう。
火と自然の弱点とは、まずはドローがない事。
つまり、闇の手札破壊【スケルトン・バイス】などなどを使えば敵はガス欠に陥り、デッキが機能不全してしまうでしょう。
また、いくらブロッカー破壊カードがあるとはその数は有限です。こちらがドローで引き増しして、相手のブロッカー破壊以上の数のブロッカーを用意してやれば、シールドはガッチリ守られるでしょう。
さらに、引いた手札を【グライス・メジキューラ】のシールド保護能力に使ってやれば、相手のシールド破壊も無駄にできて言う事なしです。
具体的にいうと、上で上げたように【ボルバル】には水のブロッカーでは対抗しづらいので、光や闇のブロッカーを引きたいところです。
となると、ブロッカーのある光&闇と相性のいい【アクアン】、光の【雷鳴の守護者ミスト・リエス(4弾)】、闇の【凶星王ダーク・ヒドラ(コロコロパック)】が候補でしょう。
また、ブロッカーを数並べる作戦では【時空の守護者ジル・ワーカ(9弾)】が優秀です。
【ボルバル】を倒せるわけではないですが、取り巻きのお供は止められますし、コストも軽めなので並べやすく、ガーディアンという強力種族なので【ダーク・ヒドラ】での回収もしやすいという便利者です。
しかし、手札破壊をしても、デッキトップから次々強力なカードが飛び出てくることもありますし、水入り3色バージョンではドローカードで補われたりします。
ブロッカーを並べる作戦でも、【クリムゾン・ワイバーン(1弾)】や【クリスタル・パラディン(2弾)】で一掃される恐れもあります。
つまり、このような対策法に頼りすぎてもダメな事もある、ということです。
火と自然の弱点その2は、ブロッカーがない事。
いくらマナ加速をするので出やすいといっても、【ボルバル】は7マナ。火+何色かで押し切るのはアリです。
ですが、うっかりマナ加速にかみ合われたりSトリガーに働きまくられたりすると、【ボルバル】まで生き延びられる事もあります。
つまり、これまた完全な対策ではありません。
さて、様々な対策法を挙げてきましたが、ここまで書いた事を日本語に翻訳するならば、「【アクアン】デッキか速攻デッキでないと【ボルバル】とは戦うのはキツイ!」ということです。
例えば水主体だと、ブロッカーが6000以下ばかりですし、【ジル・ワーカ】のような優秀なのもいないので、【ボルバル】とその取り巻きたちを止めきれません。
自然や炎を使うなら、無理をせずとも自分が【ボルバル】を使うほうが楽です。
もちろん「強力なSトリガーを大量に入れて発動すればなんとか」というデッキ、例えば除去コントロールのような「手札破壊がある」「ドローもある」「ブロッカーもなくはない」なデッキもわりと良いのですが、構造的にスピードアタッカー&速攻に弱いので、Sトリガー頼みになってしまいます。
で、Sトリガーはけっきょく運頼みな要素が大きい&発動しても追加ターンを消せるわけではないので、「勝てるよ!」と力強い紹介はできません。
今までもインパクトがあるクリーチャー、例えば【クリスタル・ランサー(2弾)】【聖霊王アルカディアス(4弾)】【悪魔神バロム(4弾)】【ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン(6弾)】【超竜バジュラ(8弾)】などなどがいました。
しかしこいつらには「コストが重い」「進化種が必要」「進化じゃないけど召喚酔い」といった欠点がありました。
これにより、出る前に手札破壊したり、進化種を倒したり、手札に戻したり、スレイヤーで殴ったり、呪文で倒したり、まぁ「普通に組んだデッキ」でもなんとかできてました。
が、【ボルバル】は違います。
常に念頭において対策カード&対策戦術を仕込んでデッキを組まないと、とてもかなわないのです。
前回の
【アクアン】記事でもちょっと書きましたが、つまり対策されにくいカードはすごい強いということ。
もう少しで発売される12弾も、「対策されにくいカード」という視点でカードをチェックすると、強力なカードを見つけやすくなるでしょう。試してみて下さい。
最後に、【ボルバル】を使うにしても、使われるにしても、どっちにしろ重要なWブレイカーの処理を解説しておきましょう。
Wブレイカーが殴って、ブロックされなかったときは、
まずシールドを1枚指定します。
ここでSトリガーをチェック。Sトリガーじゃなかったり発動させたくなかったら手札に行きましょう。
発動させる場合は、このタイミングで全部処理しちゃいます。
つまり、【デーモン・ハンド】なら倒すクリーチャーを選び、【ホーリー・スパーク】ならクリーチャーをタップさせ、【アクア・サーファー】なら場に出してクリーチャーを戻します。
【深緑の魔方陣(3弾)】なども、このタイミングでマナをシールドにしてしまいましょう。
全部終わったら、Wブレイクの2枚目。破壊する2枚目のシールドを選びます。
これは例えば、
1枚目のSトリガーによって殴っているWブレイカーが場にいなくなっていても、2枚目を破壊できます。
1枚目を壊してから2枚目を壊すので、もちろん1枚目が【深緑の魔方陣】でシールドを増やされた場合は、その増えたシールドを壊してもいいですし、違うのを選んでもよいです。
(つまり、シールドは1枚、中身は【深緑の魔方陣】。殴ってくるのはWブレイカー。という状態ならば、マナゾーンにもう1枚の【魔方陣】がない限り、どうやってもシールドは0になります)
で、壊したカードがSトリガーならもう1回発動させるかどうかを考えて、発動させるならこのタイミングで全部やります。
これがTブレイカーならもう1回。
途中でシールドがなくなればそこで終了。つまりシールドが1枚しかない相手をWブレイカーで殴っても、相手本体は倒せません。
また、【グライス・メジキューラ】も同じように処理します。
つまりWブレイカーに殴られた場合、まず1枚目を守るかどうか考え、それが終わってから、次に2枚目を考える。
例えば、場に【メジキューラ】がいて手札が1枚の場合、
1・1枚目のシールドは手札が1枚なので守れない。よって壊される。
2・2枚目のシールドは、さっきのシールド破壊で手札が2枚になっているので守ることが可能。
となります。
つまり、手札が36枚あれば、「クルーブレイカー、18枚ブレイク!」とか言われても、シールドを1枚たりとも割させないことが可能です。
ですがシールドが0枚ならば、手札を37枚すてようとも自分自身は守れません。
(注・一応ゲーム的に可能な状況設定です。意味はありませんが)